マンフロットのギア雲台、405は非常に便利な雲台だが、クイックシュープレートには不満が残る。

・プレートの付け替えが必要
 私は一眼レフにはアルカスイス互換のPeak Design Capture Camera Clip用プレートをつけっぱなしにしている。
 そのため、405を利用したい場合には普段つけているCCCプレートを取り外し、405用プレートに付け替えなければいけない。ちょっとしたことだがなかなか手間になる。

・プレート上面が全面ゴム
 ブレ防止を考えた場合、カメラとプレートの接続は剛性を保ったものでなければならない。しかし405用の410PLというプレートは全面がやや柔らか目のゴムで、かつフチの金属部がゴムの面よりも低くなっている。
 これではネジを締め付けてもゴムを介しての接続としかならず、剛性はない。振動が発生した場合の制振性はあるかもしれないが、そもそも振動を発生させないための防振性は期待できない。

・方向性がある
 405はチルトの可動範囲が下向き90度、上向き30度となっている。そのため、チルトで上向き30度以上に傾けたい場合はカメラを逆付けしなければならない。
 しかしプレートに方向性があるため、逆付けする際も一旦プレートを緩め、方向を変えてから再度付け直す必要がある。

・プレートがでかい
 アルカ互換プレートはコンパクトなためつけっぱなしにしても気にならないが、これは無理だ。邪魔すぎる。
 また、ストラップの取り付けも一切できない。

 ここで挙げたうち二点目は性能に直結する部分のため、改善したいとずっと思っていた。

 そこでインターネット上を見ると、405を改造しアルカスイス互換クランプを取り付けているものが見つかる。
 具体的な方法としては下記4種類。
1.プレートに直接クランプを取り付ける
2.プレート取付部を削り、穴を開けてクランプを取り付ける
3.クイックシュー固定レバーで固定可能なパーツを付けたクランプを取り付ける
4.プレート取付部を分解、変換プレートをネジ止めし変換プレートにクランプを取り付ける

 1は論外。ゴムを介した取り付けのままにしかならない。
 2は手間が掛かり過ぎるうえ、不可逆な改造となるためなし。
 3は接続部がクイックシュー固定部とアルカクランプ部の2箇所できるのが気に入らない。
 となると残りは4のみとなる。

 この変換プレート、Hejnar Photoにて販売されている。

Hejnar Photo Plate With F63 Clump for 405 Gear Head
http://www.hejnarphotostore.com/product-p/m405f63.htm

 しかし、残念なことに日本で購入できる場所がない。スタジオJinにて組み付け込みのインストールサービスとして注文できるが、部品単体での販売はしていないのだ。
 ということで個人輸入となるのだが、当然ながら送料が高い。
 また、クランプはSUNWAYFOTOのDLC-60Lを利用したい。となると変換プレートのみの購入となるが、そうなると余計送料の割合が大きくなってしまう。
 そして調べるうちにこの変換プレートの不満点が浮き彫りとなってきた。

・光軸中心がパンと合わない
 405は純正プレートを取り付けた時、光軸中心とパンの中心は一致するようになっている。


 しかし、Hejnarのプレートは本体側の太ネジ穴が中心となる。


 写真左側の線がHejnarプレートでの光軸中心となる。僅かにだがずれてしまうのだ。
 それでどこまで使い勝手に影響するかはわからないが、中心が合っているに越したことはない。ずれているとわかって使うのもなんだか気持ち悪い。

・クランプの取付方向が制限される
 Hejnarのクランプはノブ式であるため写真のような方向に取り付ける理由がないが、DLC-60Lはノブ・レバー共用式のため、このような取り付けを行う可能性がある。


 そしてこの場合、ノブがプレートと干渉するため取り付けが行えない。


 また、レバーを手前に取り付けた場合もプレートの中心に付けた際はレバーがプレートに被り、操作性が悪くなる。


 というわけでHejnarの変換プレートは購入しても満足できないものとなるだろうことが予想される。

 そこで所望の寸法を持ったプレートを自分で図面を引き、作成してもらうこととした。


 加工は1-OFF.jpにお願いした。

1-OFF.jp
http://1-off.jp

 そして実際に出来上がった部品が下の写真となる。


 取り付けの手順を写真で示す。
 まずは従来のシューを固定するためのレバーを分解しなければいけない。


 裏側から六角でM5皿ネジを回して外すだけだが、この際に表側のナット部分とレバーの銀色の部分を手で抑えながらでないと部品がバネで飛び散るので注意。


 バネは3つはいっており、レバーのバネが一番部品を飛び散らせやすい。


 また、現状復帰を考えているならば分解前に表側六角ナット表面に開いている小さな穴の位置を記録しておいたほうがいい。この穴の位置によってプレート取り付け時にレバーが自動で閉まるときのバネの具合が変わる。
 私は記録せずに一度分解してしまい適当に戻したので、上の写真は参考にならない。
 分解後は最初から付いているM5皿ネジと新たに購入したM6×20で変換プレートを取り付ける。


 M6ネジ側は本体の穴がユニファイの太ネジであるためスカスカになるが、六角穴付のボルト頭が本体のテーパーがかった穴にジャストフィットするし、しっかり締め付ければズレることはまずないだろう。


 変換プレートのみを取り付けるとこのような状態となる。
 ここにクランプをネジ止めする。止める方向は四方向全てで可能だ。







 クランプのノブを左側に出すような取り付けでも5mmの段を作っているため問題なく取り付けが行える。
 プレート右側が雲台のベースからややはみ出しているのは、そのままではクランプ取り付け穴がフチからはみ出してしまうため延長したからだ。
 クランプは上述の通りSUNWAYFOTOのDLC-60Lを利用。付属したネジはユニファイねじのようだったが、規格がわからなかったし調べるのも面倒なので取り付け穴はM6にした。M6の六角穴付で取り付け寸法は全く問題ない。
 ただし付属ネジよりネジ頭の高さが高いため、プレート裏面に脱落防止用の小ねじ頭が出るタイプのものでは干渉する可能性がある。私はそのタイプのプレートを持っていないので試していないが多分ダメだろう。


 上に挙げた光軸の問題もこのプレートならば問題ない。


 とはいえもともとアルカタイプならば溝方向はある程度自由な位置で取り付けできるから、そこまで考えなくてもよかったかもしれない。

 欲を言えばベルボンのマグスライダーもコルクを介さない接続としたいが、これは改造できなさそうだ。


 クランプの取付方向はどの方向で取り付けるのが使い勝手が良いか試してみるが、ひとまずは手前にレバーの状態で使ってみようと思う。

 さすがに既成品を買うよりも一品物を作成してもらうほうが高くは付いたが、機能的にはこちらのほうがいい。Hejnarのプレートにあってこちらにないものは水準器くらいだ。

 分解した雲台の部品はもとに戻すこともできるので、無くさないよう持っておくと良い。


 この改造によってプレート付け替えの手間と接続の信頼性が大きく改善した。
 唯一雲台とプレートの接続の手間だけがほんの僅か増えたが、レバー式であれば問題にはならない。
 一応可逆改造ではあるが、おそらくもう戻すことはないだろう。
 SD1 Merrillでダークノイズを撮ってみた。
 レンズキャップをしたままの状態でSS30秒、気温は室温。温度計がないのだが、おそらく20℃くらい?
 SD1では長秒露光時のダークノイズ減算をOFFにできないため、掲載しているものはカメラ内でダーク減算後の画像だ。
 RAWで2枚撮影してRAW内のjpgを抽出し、それを中心100×100ピクセルで切り出しを行ったもの、ノイズを強調させたものの二種類。

・ISO100
 まずはただの切り出し。



 ノイズは見当たらない。

 ノイズ強調が次の二枚。



 強調しても綺麗なままだ。ISO100の長秒露光はダークノイズ減算で綺麗にノイズが消えている。

・ISO200
 強調なし。



 よく見ればややノイズが乗ってきているが、拡大してこれなので普段は殆ど気付かないだろう。

 次に強調。



 強調すると少し目立ってくる。

・ISO400
 強調なし。



 だいぶノイズがわかるようになってきた。ISO200の強調後と同じくらいか。
 ISO400では長秒露光でなくともノイズが目立ってくるため、それを考えれば仕方のないレベルとは思う。

 強調したもの。



 ノイズがはっきりと確認できる。

・ISO800
 強調なし。



 こちらもノイズは乗ってきている。

 強調したもの。



 ここまでくるとノイズだらけという印象だ。
 しかし、これらのノイズを見ると全て灰色のノイズしか現れていない。もちろんモノクロで撮ったわけではない。普通のベイヤーでは赤や青のカラフルなノイズが現れるものだが、これもFoveonの特色だろうか。それともカメラ内のダーク減算の賜物なのだろうか。

・ISO800、SS1秒
 長秒露光とは言いがたいSS1秒ではどうだろうか。


 うーん、30秒の場合とあまり変わらない。

 強調したもの。


 強調すると30秒のときよりもノイズが少ないことがわかる。やはり長秒露光ではランダムノイズ以外にダークノイズが発生し、カメラ内のダーク減算では消しきれていないようだ。
 しかし消しきれていないダークノイズもランダムノイズも灰色で出てくるのは嬉しい。
 もちろん実際に光を受けた際は色が乗ってくるのだろうが……

 ちなみにISO100での長秒露光は過去に18-35mmと単焦点の比較をしたときに問題のないことは確認している。この記事の画像は全てISO100で、F5.6の画像は殆どSS30秒だったはず。

 しかし、実際にSD1で長秒露光をすると恐ろしい勢いで電池を消耗する。満充電でも30枚も撮れば終わってしまうのではないだろうか?
 実際に長秒露光をするならば予備バッテリーをたくさん持っていないと厳しいだろう。
 私の持っているSMC Takumar 55mm F1.8は硝材に放射性トリウムが使用されているため、放射線を放っている。
 普通に使用するならば人体に問題ないと言われているが、実際にどの程度の放射線を放っているか計測してみた。

 測定機器は堀場製作所製の環境放射線モニタPA-1000 Radiを使用。校正は行われておりトレーサビリティ証明書も取得している。

 まずバックグラウンドの放射線量を計測。


 測定値は0.092μSv/h。
 次に前玉を測定部に置き、前玉側を測定。


 0.367μSv/hまで上昇した。
 そして後玉を測定。


 後玉は高い。3.179μSv/h。

 ついでにα900に取り付けた時の背面液晶側も測定。


 カメラ越しでは0.304μSv/h。随分低くなる。
 実際に撮影中受ける放射線はカメラ越しのものになるだろうから、この数字が一番参考になるだろう。

 また、所有している他のM42レンズを測定してみたところ、放射線を放っているものは無かった。

 実際に使用する際は放射線なんぞどうでもいいから黄変をどうにかして欲しいと思う。分解して日干しにしてみようかとも思ったが、戻せなくなりそうでこわい。