SIGMA sd Quattroは購入してすぐはセンサダストが出るようだ。
 本日7月20日、SIGMAよりセンサダスト清掃に関してのお知らせが出た。

シグマデジタルカメラ 「SIGMA sd Quattro」をご愛用のお客様へ|株式会社シグマ
https://www.sigma-photo.co.jp/new/new_topic.php?id=1044

 要約すれば、
・センサ清掃は無料
・購入一年以内ならば送料もSIGMA負担
 とのことだ。センサ清掃自体は購入後一年以内は関係なく無料となる。

 このリリース文中に以下のような一文があった。

弊社の従来機と比べご使用初期の段階で撮像素子表面に付着したゴミの映り込みが目立つ場合がございます。

 この文から想像するに、ダストの原因はシャッターから出るメカダストと考えて間違いないだろう。そのため、使っていくうちにダストは発生しにくくなっていくはずだ。何度もSIGMAにカメラを送るのが嫌な人は数千ショットくらい一気に撮ってから清掃を頼めば清掃の頻度は減らせるだろう。

 SD1までのユーザーは今までの感覚でダストプロテクタを取り外し、自分で清掃を試みる方も多いようだ。
 しかし、sdQのプロテクタ取り付けは今までのものとかなり違っており、脱着にはかなり難儀する。
 私も購入後3日目でセンサダスト清掃を試みたが、かなり手間取った。
 ここでは私のダストプロテクタ脱着方法について記す。

 本記事は自力でのダストプロテクタ取り外し・センサ清掃を推奨するものではありません。本記事を参考に清掃を試みた結果、ダストプロテクタやセンサを損傷する等の不利益が生じても筆者は責任を負いません。

 まず用意するものはピンセット。SD1までは指だけで取り外しができたが、sdQでは無理だ。


 sdQのダストプロテクタは左右の爪で固定されている。向かって右側の爪(●マーク)と左側の爪(▼マーク)だ。


 まずはピンセットでマウント上部にある出っ張りをピンセットでつかむ。このとき、写真のように左右方向からつかんだほうがいい。上下方向にはラバーが貼られており、ここをピンセットでつかむとラバーが剥がれる危険がある。


 次に、右側の爪(●)を指で外側へ押しながらピンセットでプロテクタを持ち上げる。そうすれば右側だけが爪から外れ、浮いた状態となるはずだ。


 その状態で今度は左側の爪(▼)を指で外側へ押しながらプロテクタを持ち上げる。
 そうすれば「外すだけなら」比較的簡単にできるはずだ。
 逆順ではうまくいかなかったので、この順番で外すのがいいだろう。

 その後はセンサをブロワで吹くなりエタノールで清掃するなりお好きなように。

 清掃後は取り付けだが、こちらのほうが難しい。


 今度はまずプロテクタを左側の爪(▼)に引っかかるよう、斜めに差し込む。ここだけでもやや手間取る。


 左側の爪(▼)にきちんとはまった後は右側の爪(●)を指で外側に押しながらプロテクタを押しこめば終わりだ。
 左右の爪のアップ写真を見ればわかるが、右側の爪(●)には上部に出っ張りがあるが左側の爪(▼)にはない。そのため、最後に指で爪を押しながらプロテクタを押し込むことが右側でしかできないのだ。
 この順番でないと取り付けは不可能と思われる。

 購入後3日目で清掃した私のsdQだが、今日確認したらまた大物がセンサにくっついていた。F45で白い壁を撮った写真が以下だ。


 サムネイルでもわかるレベルのゴミがいる。


 このゴミはF5.6の時点で確認できてしまったので、さすがに無視はできなかった。
 清掃自体はカメラを下に向けた状態でブロワを吹いただけだ。
 清掃後が以下。


 ダストは綺麗に消えた。色味がおかしいが人工光源でピントもあっていない真っ白な壁だとAWBは狂いやすいのかもしれない。


 ちなみにF45という絞り値はMACRO 180mm F2.8にTC-2001を付けて実現している。
 この状態では開放もF5.6となるので、今回のような大きいダストならばLV画面を見ただけで存在がわかる。

 さて、このセンサ清掃だが、基本的にはSIGMAに任せるべきと考える。
 sdQのダストプロテクタは今までのものに比べると薄くて割れやすいという情報もある。中には購入早々このプロテクタを割ってしまった方もいるとかいないとか。
 また、twitterのフォロワーさんの情報ではプロテクタを割ってしまうとSD1の場合で7000円ほどの修理代がかかるようだ。sdQも同じくらいの値段かはわからないが、いずれにしろ出費にはなる。
 さらにこのプロテクタは外すのはいいが、取り付けのほうが難しい。最悪の場合は取り外したはいいが、取り付けができずに途方にくれる可能性もある。
 私も左側の爪(▼)のアップ写真を見ればわかるが、取り付けで試行錯誤しているうちにピンセットで爪に傷を付けた。

 自力でセンサ清掃を行うメリットは、所要日数が1日で済むという点だろう。SIGMAに送った場合は「製品受け取り後、最優先にて対応させていただきます。」と書いてはいるが、どれだけ早くても輸送期間含め3日間は必要だろう。
 プロテクタ破損やセンサへの傷などのデメリットに目をつぶってもいいほど、その唯一のメリットが譲れなければ自力で清掃してもいいだろう。
 その場合、冒頭にも書いたとおり私は当然何の責任も負えない。

2016/07/26追記
 sd Quattroの取扱説明書にダストプロテクタ取り外し方法について記載があった。153頁からだ。私は取扱説明書は開いてすらいないので気が付かなかった。
 内容に関してはここで紹介した方法そのままだった。

 CMOSセンサには画素読み出しのタイムラグからローリングシャッター現象、通称コンニャク現象が発生する。FoveonセンサもCMOSであるため、この現象は避けられない。
 sd Quattroでは「動画撮影機能なし」かつ「電子シャッターなし」のため、この現象が問題となるのはフレーミングやピント合わせのときのみだ。
 しかし動体を撮ろうと思うと気になる。

 下の動画はsdQにMACRO 180mm F2.8 + TC-2001を付けてカメラを上下・左右に動かしたときの様子だ。


 縦に動かしたときはコンニャク現象は発生していないが、横に動かしたときはグニャグニャになっている。
 また、歪みが上下対象になっているので、上下で分割読み出しをしている可能性がある。
 普段の使用では全く感じないが、もしかしたら天体などの厳しい条件では上下で違いが出るかもしれない。

 この動画は背面液晶を撮ったものだが、EVFでも全く同じ状況だ。
 まあ、Foveonに手を出そうという人はこの程度の問題は織り込み済みだろう。
 以前、Merrillセンサのダークノイズを確認した。

Foveon X3 Merrillのダークノイズ | 五海里

 sd Quattroが手に入ったので、Quattroセンサのダークノイズも同じように確認してみた。
 ISO100からISO6400まで、SS30秒で中心部200×200ピクセルをトリミングした。

・ISO100

 ノイズは見当たらない。

・ISO200

 こちらも綺麗なままだ。

・ISO400

 拡大すればややノイズが見えてくる。

・ISO800

だいぶ輝度ノイズが見えてきた。Merrillに比べると強い輝点がいくつか見える。

・ISO1600

 ISO800のものと大差なく見えるが、輝点はこちらのほうが少ない。

・ISO3200

 一気にノイズが増えた。サムネイルで見てもノイズの増加が明らかで、カラーノイズも増えた。

・ISO6400

 ここまでくると使い物にならなさそうだ。サムネイルではカラーノイズも出ているが、縞模様のようなものも見える。


 ダークノイズ減算はSD1同様、切ることができないのでこれは減算後の写真だ。
 SPPでビニング現像をすればもうすこしマシになるかもしれない。
 Foveonセンサ機にてマウントアダプタを利用した場合、もしくは非常に古いSAマウントレンズを利用した場合の色被りについて、過去記事で紹介している。

Foveon X3 Merrillの色被り | 五海里

 この記事はMerrill世代のSD1 Merrillでの色被りを紹介した。
 トップに載せた写真を再掲するが、Merrillセンサではマウントアダプタ利用時は実用にならないレベルで色が変化する。


 色の変化は周辺部と光軸中心で全く違うため、SPPのみでは補正も不可能だ。CornerFixを利用しても完全には補正できない。モノクロでしか利用できないレベルだった。

 では、新しく出たsd Quattroで撮影した場合はどうか?
 実際に試してみた。

 まずは白い壁をSOLIGOR 28mm F2.8を取り付けて撮影してみる。


 SPPで露出だけ少しいじり、色は全く触れない状態で現像した。
 ご覧のとおり、Merrillセンサに比べれば色被りは非常に少ない。

 ちなみに、Merrillセンサで同じように白い壁を同じSOLIGORで撮った写真が以下だ。


 では、sdQで実際に風景を撮影してみる。


 全体的にやや緑に被っていたため、SPPで紫側へカラー調整している。
 適当に撮っただけなのでピントも合っていないが、色についてはかなりマシでないだろうか。色被りの程度としてはSD15までの水準に戻った。
 これでも左端は緑被りが残っているが、Meriillのものに比べれば非常に少ない。
 また、使用しているレンズがフィルム時代の28mmであるため、テレセントリック性も全く考慮されていないはずだ。別のレンズ、特に焦点距離が長いレンズを利用すればもっと色被りは少なくなると思われる。
 そもそもこのレンズ、左右で色被りの程度が違うのでやや偏心しているのではないかと思っている。

 SD1 Merrillではモノクロ専用とするしかなかったマウントアダプタだが、sd Quattroではレンズにもよるがまずまず実用になるものと思われる。
 SAマウント用のマウントアダプタはM42マウント用、ハッセルブラッドVマウント用の二つが現存している。過去にはFマウント用も存在していたが、現在は生産されていない。
 M42が使えるため、かなりレンズの選択肢も広い。
 そのうえ、ミラーレスとなったことで実絞りでもファインダー像が暗くならない。
 マウントアダプタを使用したい場合はsd QuattroはSD1と違って、全く使い物にならないものではなくなった。

 待ちに待ったSD1後継機が発売された。まあ、私が待っていたのは一眼レフの後継機なので、まだまだ出るかどうか分からないものを待ち続けて干からびていくのだが。


 まずは外観である。
 デザインは他にない独特なもので、グリップ部分の高さが短くなっている。
 これはおそらく縦グリップに付けるボタンの場所を確保するための形状だろう。
 握り易さに関してはSD1よりは多少劣る気もする。また、私の持ち方では小指が余るのだが、縦グリを付けたら収まりが良くなった。


 EVFは光軸より右側にオフセットされた位置にある。
 これも縦グリップ使用時に覗きやすい位置を考えられているのだろう。
 また、背面から接眼部が飛び出しているため鼻が液晶に当たらず快適だ。
 EVFの表示品質はお世辞にも良いとは言いがたい。特にAF作動中はザラザラだ。
 ピーキングを利用すればMFもまあ問題ないとは思うが、個人差もあるのではないだろうか。


 サイズ感はSD1と変わらない。
 社長が言っていたように、小型化のためのミラーレスではない。

 次に縦グリップ、PG-41だ。
 この縦グリップ、なぜかSIGMAのWebページには斜めから撮った写真一枚しか載っておらず、背面の操作部のボタン配置などを確認することができない。売る気あるのだろうか。

 操作部はシャッターボタンのほか、ダイヤル二つ、AF・AELボタン、FUNCボタンと縦グリのON/OFFスイッチがある。シャッターボタン一つしか無かったSD1用の縦グリに比べれば素晴らしい進歩だ。
 AF・AELボタンは本体側のセレクタで設定したほうが動作する。
 この縦グリは非煙突式で、本体と縦グリ内で合計3個のバッテリを使用できる。バッテリの消費はどれを優先するか選ぶことはできず、3個全てのバッテリが均等に消費されていく。バッテリの管理をしたければ3箇所の内どこかに1個バッテリが入っていれば動作するので、1個ずつ使用するしかない。


 本体側の縦グリ端子にはゴムカバーが付いており、これは縦グリに収納することができる。しかし縦グリ側の端子についている透明なカバーは収納場所がなく、紛失の危険が高い。
 外観上で1点、縦グリにストラップホールがついていれば完璧だった。


 私はこのようにストラップを取り付けるので、α900のように縦グリに直接ストラップが付けられると非常に便利なのだ。
 このようにクイックシュー経由で付けると、縦位置で縦グリップを握ったときにクイックシューを一緒に握ることになりグリップ性が悪くなる。

 また、同時発売のEF-630も同じようにSIGMAのWebページに写真一枚しか載っていない。スペックも200mm時にGN63(ISO100・m)としかわからず、各焦点距離でのGNすら載っていない。
 縦グリはともかくEF-630は他社カメラユーザーにも売らねばならないアクセサリだろうに、売る気あるのだろうか?


 前モデルのEF-610 DG SUPERと違い、ズームヘッドは望遠側が105mmまでから200mmまで伸びた。また、GNが61から63に上がっているが、EF-610は105mm時にGN61であることに対してEF-630は200mmでGN63となっている。
 ズームヘッドは基本的に望遠側になるほどGNは大きくなるので、もしかしたら光量自体は落ちているかもしれないと思ったが、取扱説明書を読むと最大光量は少し上がっているようだ。
 GNは配光モードという設定によって変わる。また、FP発光時は下がる。
 配光モードはNORMALとGN優先発光、フラット発光(DIFFUSE)があり、それぞれ周辺光量が変化する。
 以下に各配光モード時のフル発光GNを示す。

焦点距離17mm24mm28mm35mm50mm70mm85mm105mm135mm200mm
NORMAL2129.53034424954596063
GN優先-3133384656596263-
フラット--29.531364449555660

 EF-610 DG SUPERと比べると、ズームヘッドが200mmまで対応したことで広角側のGNが割りを食ったようだ。
 発光は1/128まで絞ることができる。
 FP発光時のGNは面倒なので載せない。

 操作部は十字キー・MENUボタン・テスト発光ボタン・ダイヤル・BEEP音ON/OFF切替・電源がある。
 また、シンクロ端子を備えているため他社ストロボを繋ぐこともできる。

 アクセサリーシューへの取り付けがねじ込みからレバーに変更されている。着脱が格段に楽になった。アクセサリーシューへ差し込む部分が樹脂製から金属製になったため、耐久性は良くなっていると思われる。
 細かい点だが、EF-610ではバウンス角度が右は90度まで、左が180度だったが、EF-630ではどちらでも180度まで回転する。
 1点EF-610のほうがよかった点が、スタンドの三脚穴が樹脂になった点だ。EF-610はここが真鍮だった。まあ、そんなに強く締め付ける必要はない箇所なので大した問題ではない。


 現状、SIGMAのWebページにはEF-630の情報はほぼ皆無な状況のため、この記事が購入検討の一助となってくれれば幸いだ。

 フラッシュ用のUSBドック、FD-11も購入している。
 これは互換性問題の発生する可能性がある他社向けはともかく、SIGMA用で何のファームウェアアップデートが来るのか想像できない。私の予想ではおそらく使うことはほぼないんじゃないだろうかと思っている。
 ちなみに試しに繋いでみたところ、FLASH USB DOCKは認識したがEF-630を認識してくれなかった。SIGMAのユーザーサポートに問い合わせたところ、初期不良の可能性があるようだ。製品を送り返し、調査してもらう。

2016/07/21追記
 どうやらFLASH USB DOCK、EF-630ともに問題はないようだ。Mac版SIGMA Optimization Pro 1.3.0のバグの可能性が高いらしい。
 現状EF-630用のファームウェアは何もアップデートがないので、接続できなくても何の問題もない。症状の発生するMacユーザは気長に待とう。

 では作例。

SDQ_0043
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F4.0, 1/160sec, ISO100】

SDQ_0046
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F4.0, 1/1000sec, ISO100】

SDQ_0056
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F4.0, 1/1600sec, ISO100】

SDQ_0058
【SFD】

SDQ_0071
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F4.0, 1/2000sec, ISO100】

SDQ_0090
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F5.6, 1/250sec, ISO100】

SDQ_0099
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @18.0 mm F5.6, 1/640sec, ISO100】

SDQ_0103
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F5.6, 1/160sec, ISO100】

SDQ_0111
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F2.8, 1/500sec, ISO100】

SDQ_0136
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @18.0 mm F2.8, 1/250sec, ISO100】

SDQ_0150
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @66.0 mm F4.0, 1/125sec, ISO100】

SDQ_0151
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @100.0 mm F2.8, 1/60sec, ISO100】

SDQ_0154
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F2.8, 1/100sec, ISO100】

SDQ_0158
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F2.8, 1/60sec, ISO100】

SDQ_0166
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @23.0 mm F4.0, 1/15sec, ISO100】

SDQ_0180_4
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @50.0 mm F5.6, 0.5sec, ISO100】

SDQ_0184_5
【sd Quattro, Art 50-100mm F1.8, @50.0 mm F5.6, 8sec, ISO100】

SDQ_0185
【sd Quattro, Art 18-35mm F1.8, @35.0 mm F8.0, 30sec, ISO100】

 一枚だけ注目の新機能、SFDで撮った写真がある。このSFDだが、現時点では活用するのは非常に難しい。少しでもズレが生じると画像が破綻してしまう。流れる雲、風で揺れる木々すべてアウトだ。
 どのような破綻が生じるかというと、動いた箇所の境界がギザギザになる。


 ではこれが活かせる場面は? おそらく現時点ではモノ撮りくらいではないだろうか。
 他社マルチショットでペンタックスのリアルレゾリューションでも格子状のノイズが発生するため、改善は難しいのかもしれない。
 ただ、SFDを使っていて一枚だけ車が通った写真があったのだが、そのように大きく違う箇所は自動的に無視されるようだ。
 また、制御面でのマズイところも見つけた。AモードでSFDを行うとSSを調整して合成するのだが、その際プラス補正の写真でSSが30秒を超えてしまう場合はすべて30秒で撮影されてしまう。もちろん明るさは変わらない。夕暮時であったので、むしろ+2、+3のほうが+1より暗くなってしまった(SFDは±0→-3→-2→-1→+1→+2→+3の順番で撮影する)。
 ダークノイズ減算は切れないため、プラス補正すべてでSSが30秒のときは3枚撮るのに3分かかってしまった。
 そして一つ非常に疑問なのが、なぜ電子シャッターを搭載していないのか。
 sdQのメカシャッターは動作時に僅かにシャッターショックを感じる。SD1でミラーアップしたほうがショックは少なかったのではないだろうか。
 マルチショットにメカシャッターを使うメーカーが他にあるだろうか。これではよほど頑丈な三脚でない限りブレる。
 現状、SFDの難度と得られる効果を天秤にかけると、私には使う意義はあまり見いだせない。

 今回は18-35mmと50-100mmで撮影したが、SGV以前のレンズではAFがうまく合焦しないものもあると発表されている。
 手持ちのSGV以外のレンズで簡単にAFを試した。なお試したのはAF-Sのみで厳密に精度までは確かめていない。

・8-16mm F4.5-5.6
 問題なく動いているようだが、AFを動かすたびに合焦位置が多少ずれる。もともと被写界深度が深すぎて、多少ずれていてもよくわからない。

・17-50mm F2.8
・50mm F1.4(BBL改造品)
 問題なく動く。

・MACRO 70mm F2.8
・MACRO 105mm F2.8
・MACRO 180mm F2.8
 合焦しない。AFは諦めたほうがいい。

 twitterではsdQ発売前に散々愚痴を並べ立てていたが、実際に使った率直な感想としては素晴らしいの一言だった。
 撮影後ほんの1秒程度で確認できるプレビュー、詰まらないバッファと書き込み速度、だいたいのピント位置と色がわかる液晶、画像再生画面の拡大・縮小等レスポンスの良さ、ライブビューでの拡大MF、AWBの正確さ、電池の持ち、長秒露光での電池消費の少なさ。
 どれもSD1に慣れていると感動モノだ。
 できることならばこれがOVFで出てくれば最高なのだが。

 もちろんOVFがないこと以外に不満点はある。
・QSでSFDのON/OFFを割り当てられるようにして欲しい
・コントラストの低い被写体にはピーキングが反応してくれない(LX100では反応するレベル)
・縦グリップにストラップホールが欲しかった
・電子シャッター、電子先幕シャッターが欲しい
・SFD撮影時、キャンセルする選択肢が欲しい
・電子水準器で水平と判断する範囲が広すぎる
・縦グリ使用時、バッテリを一個ずつ消費して欲しかった
・マウント部のダストプロテクタをSD1くらい簡単に取り外せるようにして欲しかった

 いくつかはファームウェアアップデートで良くなっていくと思われる。SD1も当初は露出もAFも全く信用できないカメラだったのが、現在ではそれなりに信用できるようになったので、sdQもこれからまだ良くなっていく部分はあるだろう。

追記
 sd Quattro Hはこちら