私が所有しているカメラバッグは全部で6個。うち4個がメッセンジャーバッグタイプで2個がリュックタイプだ。
 カメラバッグ沼とまでは言えないが、それなりに数はあるので比較しながら紹介していく。


  • メッセンジャーバッグタイプ

Lowepro Event Messenger 250
 一番頻繁に使っていたバッグ。
 ボディ1台 + レンズ3本が収納可能。SD1 Merrill + Art 50mm、MACRO 180mm、Art 18-35mmを余裕を持って入れることができる。


 前面にはフィルターや予備バッテリーなどを入れておける。


 こちらも容量はそこそこあるので不足を感じたことはない。
 また、背面にも収納がある。こちらにはあまり厚みのあるものは入れられないので財布などを入れている。


 定評のあるLoweproだけにスタンダード。不満点はほぼない。


・Canon 品番不明
 少々小さめなバッグ。
 SD1 Merrill + Art 50mm、Art 18-35mmの二つでもういっぱい。


 しかもこれだけで金具を閉められなくなる。
 また、このバッグはベルトが短い。


 そのため斜めがけができない。私はなで肩気味なためこういうバッグはまともに使えないのだ。実際のところまともに使ったことはない。


・SIGMA 品番不明
 SIGMAブランドのカメラバッグで信者アピールをしようかと思ったのだが、上のCanonのもの以上に小さかった。


 カメラを上の二つのように縦に入れると閉められなくなるため、横にして入れている。
 一応18-35mmも一緒に入れられるが、重ねて入れざるをえないためカメラが取り出しにくい。


 この大きさだとレンズ一本のとき専用と考えたほうが良いかもしれない。


 Loweproのものが「使っていた」と過去形なのは、今はこちらを使っているから。
 Peak Designは大好きなためKickstarterですぐに出資した。日本でもそのうち発売されるだろう。
 SD1 Merrill + Art 50mm、MACRO 180mm、Art 18-35mmを入れてもまだまだ余裕がある。


 この状態でフタを閉めても四つある金具中で下から二つ目で留めることができる。


 ベルトも長さの自由度が高く、変形可能なFlex-Foldという仕切りを採用し、側面にCapture Camera Clipを付けることができ、この中では唯一三脚の持ち運びにも対応と、様々な機能がある。大半の機能は紹介ビデオを見れば把握できる。写っているのはプロトタイプのため三脚には対応してない頃のもののようだ。
 このバッグも背面に収納があり、MacBook Proの15インチがすっぽり入る。
 今のところこれ以上のメッセンジャーバッグはないだろうと思っている。大容量なぶん、やや重いことだけが難点だ。


  • リュックタイプ
 これを買ったのは失敗だった。
 容量は入れようと思えばボディ1台 + レンズ7本程度まで入ると思われる。そこまで入れては重すぎるため入れたことはないが。


 側面が開いて、そこからカメラを取り出せるタイプ。
 私は仕切りを使ってカメラを真ん中に、その上下にレンズを二本ずつ、合計五本のレンズが入るようにしている。


 しかしさすがに下半分にレンズ五本を入れるとかなりギチギチになる。
 二気室になっているため、上半分にはアクセサリ類を収めておくことができる。


 また、背面部分はPCが入る。


 しかしこの部分にPCを入れるとバッグが背中に沿わなくなり、非常に疲労が溜まりやすくなる。

 なぜこれを買って失敗したかというと、まずリュックとしての基本機能が弱い。
 チェストベルトがない。ウェストベルトがちゃちい。PCを入れると背中が痛い。肩ベルトが長すぎて調整幅が狭い(結局切って短くした)。
 そして側面から機材が出し入れできると言ったところで、結局バッグを降ろさなければ安全に出し入れなどできない。一度背負ったままレンズ交換をしようとしたが、これを続けていたら確実にレンズを落とすと確信した。
 という理由で今は使わなくなってしまった。


 マンフロットのバッグの不満点を解消できるバッグはないものかとtwitterでつぶやきながら探していたら、このバッグの存在を教えていただいた。


 このバッグがどういうものかはレビュー動画を見ればだいたい理解できるはずだ。
 リュックとしての基本機能は充分。そしてなんといってもレンズ交換の為にリュックをいちいち下ろす必要が無いというのが素晴らしい。
 このバッグは通常版とDeluxe版の二種類が存在している。両者の違いはDeluxe版には各種オプション類がセットになっていることだ。
 Deluxeに付属するオプションの中にはインナークッションがある。これはリュック本体側の気室にすっぽりとはまる。


 本体側にはSD1 Merrill + Art 50mm、MACRO 180mmを入れても左下にスペースが余っている。ここにはArt 35mmくらいなら入れることができる。18-35mmはきびしい。
 こちらには天蓋を開けてもアクセスできるが、こちらから開けるメリットはほぼないだろう。


 このインナークッションは取り外して別途レンズポーチなどを用意したほうが容量を有効活用できるかもしれない。
 そしてRotationシリーズの最大の特徴、ウェストバッグ部分。右側からのみ引き出せる。


 こちらには入れようと思えばレンズ4本くらいなら入れることができる。


 更にウェストベルト部分には右側に別売りのレンズスイッチケースを取り付けることができる。
 私はCapture Camera Clipをつけているためケースは買っていない。


 左側には小さい収納がある。大した容量ではないが、行動食や携帯電話くらいならば入れておける。


 他の収納は側面に一つずつポケットがある。左側はハイドレーションに対応しており、下部にもポケットがある。私はよく下部のポケットにペットボトルを差している。


 右側にはレインカバーが入っている。こちらの下部はウェストバッグを取り出す時の通り道になるためポケットはない。


 更に左側面から背面の大きなポケットにアクセスできる。
 主に外套などを入れておくためのものになるだろうが、PCを持ち運ぶ場合はクッションがないがここに入れることができる。


 また、レインカバーはウェストバッグにもある。が、リュック本体にカバーをかけていればこちらはいらない気もする。


 また、当然三脚の持ち運びにも対応している。しかしDeluxe版でなければ三脚用オプションは別売りとなっているため注意。
 正直なところ通常版は付属しないオプションが多いためあまりおすすめできない。
 バッグを上げ下ろしせずにレンズ交換を行いたいという要求には最高だった。難点は値段が高いことくらい。


 私のカメラバッグはEveryday MessengerとRotation180 Professionalでアガリへと至った。双方ともこれ以上のものはまず見つからないと思われるため、今後カメラバッグを買い足すことはないだろう。
 可能性があるとすればPeak Designがリュックタイプのバッグを出した場合だろうか。


 こんなのがあると便利かもよ、というだけ。

 肩掛けバッグにボディとレンズ3本入れて出かけた後、肩がものすごく痛くなったことがあった。そこで自分が持ち運べる重量の限界がだいたいわかったのだが、他の組み合わせでその重量を超えているのかどうかわからない。
 そこでこういった表があれば定量的に判断ができるのではないかと作ってみた。
 バッテリなど複数持つ可能性があるものもあるので、SUMIFではなくSUMPRODUCTで合計重量を計算している。

 カメラバッグなんかはおそらく実測値はもう少し重い気がする。重量を測る道具を持っていないので分からないが……
 あとM42レンズ群も重さがわからないので入れていない。

 この表に載っていないアクセサリ類(Capture Camera Clipやストラップ、フィルタなど)もあるが、構成を考える時の目安にはなるのではないだろうか。

2016/05/04追記
 機材重量表のExcelファイルを置いておく。
 ダウンロード

 ハンドストラップは今まで五種類を試した。

Nikon HSBK
Nikon AH-4
ULYSSES アルチェーレ・グランデ
Peak Design Clutch
Peak Design Cuff

 このうちPeak DesignのCuffはハンドストラップというよりリストストラップと呼んだほうが正しいものでちょっと毛色が違う。
 この五種類を使用してみて、自分のハンドストラップの好みがはっきりしたので書き記しておく。
 最初に書いておくが、この中で継続して使っているのはアルチェーレ・グランデとCuffだけだ。

 まず一般的にハンドストラップに求められる性能として「グリップ感向上」と「脱落防止」の二種があるかと思われる。
 私はこの内グリップ感向上はどうでもいい。一般的なストラップを使用できない場合の脱落防止になりさえすれば良いのだ。なので肩掛けストラップを使用しているときはハンドストラップは付けていない。


 まずPeak DesignのClutchだが、これは最も一般的なカメラ右肩のストラップ穴から底部に通ったベルトで手をグリップに固定するものだ。
 このタイプでは手の甲をグリップ側に押し付けているだけであるため、手がスルリと抜けてしまう可能性がある。抜け落ちる心配が少なくなるまで締め付けた場合はキツすぎて操作に難が出てしまい、シャッターすら非常に押しづらい。
 このClutchはそういった「操作時に最適な長さ」と「持ち運び時に最適な締め付け」を簡単に切り替えられる構造となっているが、それでもやはり切り替えの手間はかかる上に脱落の危険性は比較的高い。
 このタイプの中では非常にできが良いが、脱落防止として見た場合は役に立たない。

 NikonのAH-4は手の甲を三方向から支える構造になっている。さらに手首部分のストラップを締め付けることで高い脱落防止効果が得られる。



 しかし締め付けるベルト部分がカメラ底部を経由しているために、締め付けると同時に手首がカメラ側に押し付けられてしまう。そのため操作性はよくない。
 操作性を求めて緩めてしまえば脱落の危険が増す。三方からベルトが出ているためClutchよりは脱落しにくいが、安心とはいえない。

 同じNikonのHSBKはそもそも締め付ける構造を持たない。脱落防止効果は気休め程度だろう。


 そしてULYSSESのアルチェーレ・グランデだが、これは上記不満点を全て解決する構造となっている。
 見た目はNikonのAH-4に似ているが、構造は全く違う。

AH-4の構造

 Nikon AH-4は手の甲を包む三角のパーツの両端から締め付け用のベルト(青)が出ており、カメラ底部を経由して締め付けを行う。青部分を締め付けると手がカメラ側へ締め付けられる。この状態では操作性に支障が出てしまう。

アルチェーレ・グランデの構造

 対してアルチェーレ・グランデの構造はClutchのタイプに手首用ベルトを付け足したものに近い。青部分を締め付けても赤部分には充分に余裕を持たせることができるため、操作性への影響は全く無い。かつ脱落は構造上起こりえない。

 私は持ち運び時にはグリップを握らずブラブラさせている。それでも脱落の危険はゼロだ。
 惜しむらくは帆布モデルでも革製のパーツが多いことだろうか。ULYSSES製品全般に言えることだが、なぜ汗をかく箇所に革を使うのだろうか? 見た目が良くても実用性に難があったら意味がないだろうに。価格も高めなため、他社から同じ構造でナイロンか合成皮革あたりでできたものが出たらすぐに乗り換えるだろう。革は好きだがこんなところに使ってほしくはない。

 材質以外にも機能面で一点だけ不満点があった。こういったハンドストラップ全般に言えることだが、底部の三脚穴を塞いでしまうのだ。
 私はハンドストラップはCapture Camera Clipと同時に使うため、CCC用プレートを取り付けられなければ非常に不便になってしまう。
 一応ハンドストラップのネジと同軸に三脚穴が付いているが、ここを利用してCCCにカメラをぶら下げるとカメラ自体の重みでネジが回ってしまうのだ。
 そのため、この点はClutchを参考に改造を行った。


 従来の底部取り付け部品を取り外し、Peak Designのアンカーリンクスを取り付けたのだ。
 これによりCCC用プレートにアンカーを付けておけば簡単に脱着ができるようになった。
 ちなみに最初の写真にNikonのHSBKが写っていないが、HSBKはこの中に生きている。


 この改造用の紐として。
 本体は捨てた。


 最後にPeak DesignのCuff。これはLX100につけっぱなしにしている。
 本音を言えば脱落防止だけを考えるのであれば全てこれだけで済む。
 ただ、片手を通した状態で手首の輪を縮めるのがやりにくく、落としたときに地面に激突はしなくともCuffの長さの分だけブラブラと振れてしまうため、そのときに何かにぶつけてしまわないとも限らない。アルチェーレ・グランデは完全に手を離してしまっても問題ないが、Cuffではそうもいかない。そのためアルチェーレ・グランデはまるっきり無駄というわけではない。

 Peak Design Clutchの評判を調べると、やはり持ち歩き時と撮影時にすぐに長さを調節できるのが便利だというレビューが多い。
 個人的にはそんな手間をかけずともアルチェーレ・グランデ一つで全て解決するのに、と思ってしまう。

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 伸縮系速写ストラップの比較
 BlackRapidタイプの速写ストラップ
 三脚使用時、特に長時間露光ではファインダー接眼部からの迷光の影響が発生する。
 ということは知識としては知っていたが、実際にどの程度影響があるものなのかテストしてみた。
 テストはレンズキャップをつけたままファインダー接眼部へGENTOS BR-1000R(600ルーメン)を密着させた状態でSSを変えながら適正露出となるくらいの明るさを探して撮影。

 SD1 MerrillでSS1秒が下の写真。

【SIGMA SD1 Merrill, Art 35mm F1.4, @35.0 mm F16.0, 1, ISO100, 0EV】

 随分とカラフルになった。明るさの分布も左右が明るく、また変な模様のような状態となっている。サブミラーの形でも浮かんでいるのだろうか。
 直射以外に斜め上から、斜め下からも試してみたが、ほぼ何も写らなかった。

 次にα900でSS1/8秒が下。

【SONY DSLR-A900, Carl Zeiss Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM (SAL2470Z), @24.0 mm F2.8, 1/8, ISO100, 0EV】

 SD1に比べ色は単色、明るさの分布は上部に四角い暗い部分が見えるが、殆ど画像上側を中心になだらかに変化している。
 SD1ではSS1秒でほぼ適正露出に写ったが、α900はSS1/8秒でややアンダー目となっている。漏れる光はα900のほうが8倍近く多いようだ。
 しかしα900にはアイピースシャッターが内蔵されており、それを閉めた場合は一切光は写らなかった。写真はただ真っ暗なだけなのでいちいち載せはしない。

 実際の撮影で影響が出るかと言われると、多分センサーに到達する光による影響はほぼないと思う。BR-1000Rの明るさと同等な光がファインダーに入ってくる状況は考えにくい。どちらかというと露出計が迷光を拾ってアンダーになることのほうが問題になるだろう。

 SD1の迷光防止は、アイカップを取り外し同梱されているアイピースカバーをはめる方式となっている。正直これは面倒くさい。SD1後継機ではアイピースシャッターを内蔵してもらえるとありがたい。