伸縮系速写ストラップの比較

 カメラストラップは写真の出来にはなんら関係ないが、撮影時の使い勝手には大きな影響を及ぼす。
 私はカメラに付属していたストラップは、おそらく最初に買った一ヶ月位しか使っていなかった。その一ヶ月も殆ど手に巻いて使う用途にしか使っていない。
 というのも、首掛けでカメラをぶら下げると肩が凝るうえにブラブラとカメラが暴れてしまうのだ。それが嫌でたまらなかった。
 その後ハンドストラップのみになり、速写ストラップに出会った。
 速写ストラップは大きく2種類に分けられる。肩掛けのストラップ上をカメラとの接続金具が自由に移動するタイプと、一瞬で自由に伸縮させることができるタイプだ。

 前者はBlackRapid、CarrySpeedなどが有名だ。この記事では肩掛け系と呼ぶ。このタイプは一本も持っていない。
 伸縮系では有名所はNinjaStrapあたりだろうか。カメラを使わない際はストラップを縮めることでカメラのブラつきをなくすことができる。私はこのタイプは3種類4本所持している。これらの比較を行う。

左からJETGLIDE for Mirrorless、JETGLIDE2、イージースライダー、SLIDE


 メーカーはMemoGraph。Amazonと楽天でしか購入できないが、店頭では廉価版といえるPROTGEARが販売されている。違いは伸縮用の取っ手が両側にあるか片側にあるか。
 このストラップ、所持している中で最も気に入っている。
 というのも伸縮のしやすさ・スムーズさが所持しているものの中ではずば抜けて高い。伸縮するにあたりなんのストレスもなく操作できる。
 伸縮のしやすさは伸縮系速写ストラップにおいて一番のキモであり、ここで手間取るようならば価値が無い。このストラップはあまりにも理想的な操作感であり、何の不満もない。
 購入を検討している人はPROTGEARではなくJETGLIDEをおすすめしたい。私の運用ではストラップ取り付け位置は以下のとおり。



 カメラ底の三脚穴一点で固定してしまうと、その点を中心にカメラが回転する恐れがある。このように二点で固定することで回転を防いでいる。また、肩掛け時にカメラ左側面が体右側面に密着するので右手でグリップを掴みやすい。
 使用時は片側は常に最短状態、もう片側を撮影時に最長状態にして肩掛けで利用している。
 しかしこの運用では縦位置(右手下)ではカメラ左肩から伸びるストラップが邪魔になり、長さも足りなくなる。その際、両方にJETGLIDE機構が付いていると簡単に両方を伸ばすことができるため、余裕を持って縦位置に構えることができる。PROTGEARでは一時的に首掛けにするなどして対応するしかない。
 JETGLIDEでは伸縮機構の取り外しも可能だ。
 このJETGLIDE、一眼レフ用の太いJETGLIDE2とミラーレス用のJETGLIDE for Mirrorlessを持っているが、ミラーレス用は細いためか伸縮に多少力が必要だった。特に理由がなければ一眼レフ用の太いものを利用したい。

2016/04/19追記
 ミラーレス用の伸縮が固いことには理由があった。
・ミラーレスはファインダーを覗かず撮影することが多く、ストラップをピンと張ることで手ブレを防ぐ使い方を想定している。
・幅が狭いため、一眼レフ用のJETGLIDE2と同じ調整では緩みやすくなってしまう。
 という理由から、わざとこのような固さにしているとのこと。


 メーカーはPeak Design。Peak Designは大好きで様々な商品を購入している。上のJETGLIDEも下のイージースライダーもPeak Designのアンカーリンクスでアンカー接続としているくらいだ。
 しかしこのSLIDEは「速写ストラップ」として見た場合は甚だ期待はずれであった。伸縮がスムーズでないのだ。
 他の伸縮に関して何の気も遣っていないストラップと比べれば楽ではあるのだが、一瞬で長さを変える速写ストラップとしての用途は想像していないようだ。
 また、真ん中部分にパッドが仕込まれ厚みが増しているため、パッド部分は伸縮には使えない。全伸時と全縮時での長さの差が他に比べ小さい。伸ばした長さは良いが、縮めた時にJETGLIDEほど体に密着しない点も不満だ。
 実は一点だけJETGLIDEで気になる点があり、このSLIDEはその点を改善してくれるのではないかと期待して買ったのだった。
 その気になる点とは伸縮時の操作方向である。
 JETGLIDEはカメラ側に引いて縮め、ストラップ中央方向に引いて伸ばすタイプだ。私は撮影しないときはストラップを縮めた後にカメラを背中側へ回す。その際、JETGLIDEは一度左手で伸縮機構を左肩からカメラ側へ引き、その後カメラを背中側へ回す2アクションが必要となる。
 しかしSLIDEの場合は逆となるため、左手でカメラ側の伸縮機構を掴み、カメラを背中側へ回すと同時に左手でストラップを縮めることができるのではないかと思ったのだ。
 伸ばす場合もSLIDEの方向のほうが楽だと予想していた。



 しかし前述のとおり伸縮がスムーズでないため、この想像は実現しなかった。残念である。
 伸縮を頻繁に行わなず、速写用途を求めないならばSLIDEもおすすめできるストラップではある。何より質感がいい。しかし私が求めているものはこれではなかった。
 ちなみにろくに使っていないのに近々色違いの青が増える。

【2017/12/14追記】
 2017年版の新型SLIDEは改良され、伸縮がかなりスムーズになった。

 メーカーはARTISAN&ARTIST。これを買った理由はSLIDEと同じである。伸縮操作方向がSLIDEと同じなのだ。
 伸縮機構は良く出来ており、JETGLIDEの太いものと同じぐらいスムーズに伸縮できる。しかし実際に使っているストラップはJETGLIDEであり、これは殆どお蔵入りの状態だ。
 ではなにが問題かというと、伸縮機構が片側にしかない点である。
 イージースライダーの全長は全縮時も全伸時もほぼJETGLIDEと一緒である。そして私は上述の通り普段はJETGLIDEを片側は縮めた状態で使用しており、全伸状態は縦位置のときのみだ。
 つまりイージースライダーの全伸時は普段横位置で撮影するときには長すぎるのだ。
 更にカメラを使わないときもJETGLIDEの全縮時の長さまで縮められなければカメラをしっかりと体に固定できないが、片側の伸縮機構だけではストラップの半分くらいの位置までしか縮められない。カメラを背面に回した状態では体側面でストラップが折り返され、抵抗となって伸縮できなくなる。
 確かにSLIDEの項で示したように縮める際はイージースライダーのほうが1アクションで済む。しかし伸縮系ストラップを使う最大の理由である「カメラが暴れない」を満たさないストラップとなってしまっている。
 伸縮機構が両側にあれば背面側を縮めておけたのだが……


 私は持ってはいないが、おそらく伸縮系ストラップで一番有名なのではないかと思うので一応取り上げる。
 Diagnalから販売されている。販売する店舗はこの中では一番多いのではないだろうか。また、価格も一番安い。
 しかし買っていないのには当然理由がある。このストラップは上3つと違い、縮めたときにストラップの余りが垂れ下がるのだ。
 ブラブラするのが嫌いで伸縮ストラップを使うのに、そのストラップがブラブラしては本末転倒だ。たとえカメラよりも遥かに軽いストラップの端でも私は嫌だ。
 垂れ下がった余剰部分はマジックテープでまとめることもできるが、伸縮するたびにそんなことやっていられない。
 それと私は実物を持っていないので確認したわけではないが、どうもJETGLIDEやSLIDEと違い、ベルト素材がやや柔らかく端部分が伸びてワカメのように波打つらしい?
 確かに値段は速写ストラップの中では安いが、それでもただのストラップよりは高い。どうせ買うならJETGLIDEのほうがいいのではないだろうか。


 速写ストラップと言えばBlackRapidをはじめとする肩掛け系が有名だが、カメラがブラブラすることを嫌う人には伸縮系のほうが向いていると思われる。
 私はもう伸縮系ストラップ以外を使う気がなくなったくらい便利だ。特にJETGLIDEはおすすめなので、今までカメラストラップに無頓着だった人も試しに買ってみてはどうだろうか。

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