カメラストラップは写真の出来にはなんら関係ないが、撮影時の使い勝手には大きな影響を及ぼす。
 私はカメラに付属していたストラップは、おそらく最初に買った一ヶ月位しか使っていなかった。その一ヶ月も殆ど手に巻いて使う用途にしか使っていない。
 というのも、首掛けでカメラをぶら下げると肩が凝るうえにブラブラとカメラが暴れてしまうのだ。それが嫌でたまらなかった。
 その後ハンドストラップのみになり、速写ストラップに出会った。
 速写ストラップは大きく2種類に分けられる。肩掛けのストラップ上をカメラとの接続金具が自由に移動するタイプと、一瞬で自由に伸縮させることができるタイプだ。

 前者はBlackRapid、CarrySpeedなどが有名だ。この記事では肩掛け系と呼ぶ。このタイプは一本も持っていない。
 伸縮系では有名所はNinjaStrapあたりだろうか。カメラを使わない際はストラップを縮めることでカメラのブラつきをなくすことができる。私はこのタイプは3種類4本所持している。これらの比較を行う。

左からJETGLIDE for Mirrorless、JETGLIDE2、イージースライダー、SLIDE


 メーカーはMemoGraph。Amazonと楽天でしか購入できないが、店頭では廉価版といえるPROTGEARが販売されている。違いは伸縮用の取っ手が両側にあるか片側にあるか。
 このストラップ、所持している中で最も気に入っている。
 というのも伸縮のしやすさ・スムーズさが所持しているものの中ではずば抜けて高い。伸縮するにあたりなんのストレスもなく操作できる。
 伸縮のしやすさは伸縮系速写ストラップにおいて一番のキモであり、ここで手間取るようならば価値が無い。このストラップはあまりにも理想的な操作感であり、何の不満もない。
 購入を検討している人はPROTGEARではなくJETGLIDEをおすすめしたい。私の運用ではストラップ取り付け位置は以下のとおり。



 カメラ底の三脚穴一点で固定してしまうと、その点を中心にカメラが回転する恐れがある。このように二点で固定することで回転を防いでいる。また、肩掛け時にカメラ左側面が体右側面に密着するので右手でグリップを掴みやすい。
 使用時は片側は常に最短状態、もう片側を撮影時に最長状態にして肩掛けで利用している。
 しかしこの運用では縦位置(右手下)ではカメラ左肩から伸びるストラップが邪魔になり、長さも足りなくなる。その際、両方にJETGLIDE機構が付いていると簡単に両方を伸ばすことができるため、余裕を持って縦位置に構えることができる。PROTGEARでは一時的に首掛けにするなどして対応するしかない。
 JETGLIDEでは伸縮機構の取り外しも可能だ。
 このJETGLIDE、一眼レフ用の太いJETGLIDE2とミラーレス用のJETGLIDE for Mirrorlessを持っているが、ミラーレス用は細いためか伸縮に多少力が必要だった。特に理由がなければ一眼レフ用の太いものを利用したい。

2016/04/19追記
 ミラーレス用の伸縮が固いことには理由があった。
・ミラーレスはファインダーを覗かず撮影することが多く、ストラップをピンと張ることで手ブレを防ぐ使い方を想定している。
・幅が狭いため、一眼レフ用のJETGLIDE2と同じ調整では緩みやすくなってしまう。
 という理由から、わざとこのような固さにしているとのこと。


 メーカーはPeak Design。Peak Designは大好きで様々な商品を購入している。上のJETGLIDEも下のイージースライダーもPeak Designのアンカーリンクスでアンカー接続としているくらいだ。
 しかしこのSLIDEは「速写ストラップ」として見た場合は甚だ期待はずれであった。伸縮がスムーズでないのだ。
 他の伸縮に関して何の気も遣っていないストラップと比べれば楽ではあるのだが、一瞬で長さを変える速写ストラップとしての用途は想像していないようだ。
 また、真ん中部分にパッドが仕込まれ厚みが増しているため、パッド部分は伸縮には使えない。全伸時と全縮時での長さの差が他に比べ小さい。伸ばした長さは良いが、縮めた時にJETGLIDEほど体に密着しない点も不満だ。
 実は一点だけJETGLIDEで気になる点があり、このSLIDEはその点を改善してくれるのではないかと期待して買ったのだった。
 その気になる点とは伸縮時の操作方向である。
 JETGLIDEはカメラ側に引いて縮め、ストラップ中央方向に引いて伸ばすタイプだ。私は撮影しないときはストラップを縮めた後にカメラを背中側へ回す。その際、JETGLIDEは一度左手で伸縮機構を左肩からカメラ側へ引き、その後カメラを背中側へ回す2アクションが必要となる。
 しかしSLIDEの場合は逆となるため、左手でカメラ側の伸縮機構を掴み、カメラを背中側へ回すと同時に左手でストラップを縮めることができるのではないかと思ったのだ。
 伸ばす場合もSLIDEの方向のほうが楽だと予想していた。



 しかし前述のとおり伸縮がスムーズでないため、この想像は実現しなかった。残念である。
 伸縮を頻繁に行わなず、速写用途を求めないならばSLIDEもおすすめできるストラップではある。何より質感がいい。しかし私が求めているものはこれではなかった。
 ちなみにろくに使っていないのに近々色違いの青が増える。

【2017/12/14追記】
 2017年版の新型SLIDEは改良され、伸縮がかなりスムーズになった。

 メーカーはARTISAN&ARTIST。これを買った理由はSLIDEと同じである。伸縮操作方向がSLIDEと同じなのだ。
 伸縮機構は良く出来ており、JETGLIDEの太いものと同じぐらいスムーズに伸縮できる。しかし実際に使っているストラップはJETGLIDEであり、これは殆どお蔵入りの状態だ。
 ではなにが問題かというと、伸縮機構が片側にしかない点である。
 イージースライダーの全長は全縮時も全伸時もほぼJETGLIDEと一緒である。そして私は上述の通り普段はJETGLIDEを片側は縮めた状態で使用しており、全伸状態は縦位置のときのみだ。
 つまりイージースライダーの全伸時は普段横位置で撮影するときには長すぎるのだ。
 更にカメラを使わないときもJETGLIDEの全縮時の長さまで縮められなければカメラをしっかりと体に固定できないが、片側の伸縮機構だけではストラップの半分くらいの位置までしか縮められない。カメラを背面に回した状態では体側面でストラップが折り返され、抵抗となって伸縮できなくなる。
 確かにSLIDEの項で示したように縮める際はイージースライダーのほうが1アクションで済む。しかし伸縮系ストラップを使う最大の理由である「カメラが暴れない」を満たさないストラップとなってしまっている。
 伸縮機構が両側にあれば背面側を縮めておけたのだが……


 私は持ってはいないが、おそらく伸縮系ストラップで一番有名なのではないかと思うので一応取り上げる。
 Diagnalから販売されている。販売する店舗はこの中では一番多いのではないだろうか。また、価格も一番安い。
 しかし買っていないのには当然理由がある。このストラップは上3つと違い、縮めたときにストラップの余りが垂れ下がるのだ。
 ブラブラするのが嫌いで伸縮ストラップを使うのに、そのストラップがブラブラしては本末転倒だ。たとえカメラよりも遥かに軽いストラップの端でも私は嫌だ。
 垂れ下がった余剰部分はマジックテープでまとめることもできるが、伸縮するたびにそんなことやっていられない。
 それと私は実物を持っていないので確認したわけではないが、どうもJETGLIDEやSLIDEと違い、ベルト素材がやや柔らかく端部分が伸びてワカメのように波打つらしい?
 確かに値段は速写ストラップの中では安いが、それでもただのストラップよりは高い。どうせ買うならJETGLIDEのほうがいいのではないだろうか。


 速写ストラップと言えばBlackRapidをはじめとする肩掛け系が有名だが、カメラがブラブラすることを嫌う人には伸縮系のほうが向いていると思われる。
 私はもう伸縮系ストラップ以外を使う気がなくなったくらい便利だ。特にJETGLIDEはおすすめなので、今までカメラストラップに無頓着だった人も試しに買ってみてはどうだろうか。

 関連記事
 ハンドストラップに求めるもの
 BlackRapidタイプの速写ストラップ
 SD1 Merrillは最高1/8000秒のシャッターを切ることができる。他メーカーのカメラも中級機以上はたいてい1/8000まで対応しているだろう。ミノルタなんかは1/12000まで対応しているものもあるようだ。
 私はNDフィルタを持っていないので、ピーカンの屋外で明るいレンズを絞り開放で使いたい時などはこの高速シャッターは重宝する。
 しかし、以前撮った写真で高速シャッターを使用することによる弊害もあることがわかった。

_SDI9365
【SIGMA SD1 Merrill, MACRO 180mm F2.8, @180.0 mm F8.0, 1/5000, ISO100, 0EV】

_SDI9349
【SIGMA SD1 Merrill, MACRO 180mm F2.8, @180.0 mm F5.6, 1/6000, ISO100, 0EV】

 どちらもMACRO 180mmを使用し、逆光で1/5000、1/6000の高速シャッターを用いた。
 これらの写真の水面をクロップしたものが下の画像だ。

上の写真のクロップ

下の写真のクロップ

 見ての通り、上の写真は縦に、下の写真は横に光条が伸びている。特に上の写真はひと目で分かる。
 どちらも画像中央部を切り抜いているが、周辺部も一様に光条が出ている。

 結論から言えば、これはフォーカルプレーンシャッターによる回折の影響と思われる。
 フォーカルプレーンシャッターの仕組みを知らない人はこの動画を見てほしい。
 SD1 Merrillのストロボ同調速度は1/180であり、それより速いシャッタースピードは先幕・後幕のスキマを狭めて実現している。1/5000、1/6000ともなればスキマはかなり狭いはずだ。
 レンズでも絞りすぎれば回折による小絞りボケを生じるため、シャッター幕もスキマを狭めすぎれば回折の影響が出てくることは想像に難くない。また、横位置の写真で縦に、縦位置の写真で横に光条が伸びているため、シャッター幕による回折と考えて理屈は合う。

 この現象のおかげで、高速シャッター時においてはハイライト部での光条の発生、短辺方向の解像度の悪化が生じているはずだ。
 しかし光条については1/5000の上の写真よりも高速なはずの1/6000の下の写真のほうが目立っていない。ハイライト部の輝度がよほど高い時にしか目立たないのかもしれない。
 解像度の低下については私は気になったことがない。実用上問題があるかは疑問だ。

 世に出ているカメラの最速シャッタースピードが(一部の例外を除いて)軒並み1/8000なのは、技術的・コスト的問題以外にも回折の問題もほんの少し考慮されていたのかもしれない。
 もちろんここに書いた内容はフォーカルプレーンシャッターでの問題であり、同じ機械式シャッターでもレンズシャッターでは問題とならないと思われる。また、電子シャッターならば全く関係ない。静物相手に高速シャッターを用いたいときは電子シャッターを使うのがベターかもしれない。SD1にはそんなものないが。
 しかし「シャッター幕 回折」でググっても同じような現象に見舞われた人が見つからない。よほど珍しい現象なのだろうか。
 ブログに写真を掲載するにあたり写真のExifを簡単に掲載できないかと探したところ、以下のページを見つけた。

Exifの必要な部分だけコピーする - ザリガニが見ていた…。
http://d.hatena.ne.jp/zariganitosh/20130322/copy_summary_exif

 早速上記の記事よりExiftoolをインストール。AppleScriptは書き方がわからないので丸コピで試してみた。
 が、以下の問題が発生した。

・「do shell script "exiftool"」が動いてくれない。上のリンクは2013年の記事のため、OSバージョンアップに伴いAppleScriptの仕様が変わった?
・SD1 Merrillの写真ではExifからレンズ名が取得できず、殆どのレンズがUnknown(****)という表記になる。
・レンズ交換式とコンデジでは求める出力が違う。

 これらの問題を色々調べたりこねくり回したりして以下のようになった。
 ちなみに一個目の問題はこのpdfを見て解決した。

 なお、記事執筆時点での環境はMac OS X 10.11 El CapitanにExiftool 10.04を利用している。

--ここから

set the clipboard to summary_exif(unix_path())
the clipboard

on summary_exif(fpath)
set fpath to quoted form of fpath
do shell script "/usr/local/bin/exiftool -T -Make " & fpath & "|awk '{print $1}'"
set maker to result
do shell script "/usr/local/bin/exiftool -T -Model -LensID -ISO -FocalLength -FocalLengthIn35mmFormat -MaxApertureValue -ExposureCompensation -FNumber -ShutterSpeed -SubjectDistance " & fpath
set {camera_model, lensid, iso, focal_length, focal35, maxf, ev, f_number, shutter_speed, distance} to split(result, tab)
if camera_model is "SIGMA SD1 Merrill" then
-- SD1 Merrill用処理
-- LensIDよりレンズ名取得
if lensid = "Sigma 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM" then
set lensid to "8-16mm F4.5-5.6"
else if lensid = "Sigma 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM" then
set lensid to "17-50mm F2.8"
else if lensid = "Unknown (8009) 18-35mm" then
set lensid to "Art 18-35mm F1.8"
else if lensid = "Unknown (8015) 24mm" then
set lensid to "Art 24mm F1.4"
else if lensid = "Unknown (8005) 35mm" then
set lensid to "Art 35mm F1.4"
else if lensid = "Unknown (8012) 50mm" then
set lensid to "Art 50mm F1.4"
else if lensid = "Sigma 70mm F2.8 EX DG Macro" then
set lensid to "MACRO 70mm F2.8"
else if lensid = "Sigma 105mm F2.8 EX DG OS HSM Macro" then
set lensid to "MACRO 105mm F2.8"
else if lensid = "Sigma 105mm F2.8 EX DG OS HSM Macro + 2x" then
set lensid to "MACRO 105mm F2.8 + TC-2001"
else if lensid = "Unknown (8003) 180mm" then
set lensid to "MACRO 180mm F2.8"
else if lensid = "Unknown (8003) 360mm" then
set lensid to "MACRO 180mm F2.8 + TC-2001"
end if
join({"" & camera_model, lensid, "@" & focal_length & " F" & f_number, shutter_speed, "ISO" & iso, ev & "EV"}, ", ")
else if camera_model is "DMC-LX100" then
-- LX100用処理
if maker is not in camera_model then set camera_model to maker & space & camera_model
join({"" & camera_model, focal_length & "(換算" & focal35 & ")" & " F" & maxf, "@F" & f_number, shutter_speed, "ISO" & iso, ev & "EV"}, ", ")
else
-- 上記二種類以外のカメラ用処理
if maker is not in camera_model then set camera_model to maker & space & camera_model
join({"" & camera_model, lensid, "@" & focal_length & " F" & f_number, shutter_speed, "ISO" & iso, ev & "EV"}, ", ")
end if
end summary_exif

on unix_path()
tell application "Finder"
set sel_list to selection
(sel_list's item 1 as alias)'s POSIX path
end tell
end unix_path

on split(sourceText, delimiter)
if sourceText = "" then return {}
set oldDelimiters to AppleScript's text item delimiters
set AppleScript's text item delimiters to delimiter
set theList to text items of sourceText
set AppleScript's text item delimiters to oldDelimiters
return theList
end split

on join(sourceList, delimiter)
set oldDelimiters to AppleScript's text item delimiters
set AppleScript's text item delimiters to delimiter
set theText to sourceList as text
set AppleScript's text item delimiters to oldDelimiters
theText

end join

--ここまで

 これでFinder上でファイルを選択し、AppleScriptを実行するだけでExifがクリップボードにコピーされるようになった。AppleScriptは触ったことがないので具体的になにが行われているのかあまり理解していない。
 変更箇所は殆どif文を追加しただけ。特にSD1 Merrillでのレンズ名取得は力技である。多くのレンズがそのままではUnknown(8009)のような表記になる。カッコの中は当然レンズ固有のユニークな番号が振られているが、できればレンズ名をそのまま書いてほしいものだ。
 ここに場合分けで載せた11種類は私の所持するレンズとテレコンの組み合わせのみであるため、流用する場合は自分の所持するレンズのLensIDを調べてif文を追加する必要がある。私も新しいレンズが増えるたびにif文を増やしていかなければならない。
 SPP内にはレンズIDとレンズ名を紐付けるための対応表があるはずなのでそれを見つければ全レンズを網羅できると思ったが、Mac版をざっと探したところ見つからなかった。LensList.txtというファイルはあったが、レンズ名は載っていなかった。
 ちなみにLensID以外にLensTypeという項目もあるが、こちらではテレコンの有無が検出できない。
 変換後のレンズ名はDGやEX、OSといった部分は省いてある。焦点距離とF値さえわかれば被るレンズを持っていないのでこれだけで十分だ。
 ひとまずこれで私の持つ主なカメラであるSD1 Merrill、α900、LX100でのExif取得が簡単にできるようになった。TG-3工一郎やSP-550UZ、EOS 20DではExifを取得する機会は殆どないであろうからひとまず無視している。
 この方法では以下のようにExifが出力される。

・SD1 Merrill
【SIGMA SD1 Merrill, Art 24mm F1.4, @24.0 mm F2.8, 1/1250, ISO100, 0EV】
【SIGMA SD1 Merrill, Art 18-35mm F1.8, @18.0 mm F1.8, 0.3, ISO100, +0.3EV】

・α900
【SONY DSLR-A900, Minolta/Sony 135mm F2.8 [T4.5] STF, @135.0 mm F4.5, 1/640, ISO100, 0EV】
【SONY DSLR-A900, Carl Zeiss Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM (SAL2470Z), @60.0 mm F2.8, 1/10, ISO1600, 0EV】

・LX100
【Panasonic DMC-LX100, 34.0 mm(換算75 mm) F2.8, @F2.8, 1/125, ISO200, 0EV】
【Panasonic DMC-LX100, 10.9 mm(換算24 mm) F1.7, @F5.6, 1/160, ISO200, 0EV】

 あまり褒められた設定ではないものも混じっているが、気にしないでほしい。
 過去記事のFoveon X3 Merrillでの色被りでもこれを用いてExifを取得している。
 しかしVario-Sonnerの名前長いな。
 改良するとすればPASMの各モードを取得するくらいだろうか。

 ちなみにSIGMA Photo Proでも同じようにExifのコピーができないか試してみたが、Selectionを取得することができなかった。Winとソースを共有化しているため、AppleScriptには未来永劫対応できない構造らしい。残念。

 このExiftool、Exifを見るだけでなく書き換えることもできるらしい。というよりそちらが本来の使い方のようだ。
 SD1 Merrillではバッテリーを抜いた状態で放置していると時計が2011年1月1日になるため、日付の修正には使えそうだ。
 Exiftoolで色々なExifを見ると、こんな情報まで記録されているのかと驚くものも多かった。暇つぶしにはなると思うので、自分のカメラの出すExifを一度くらい見てみるのもおもしろいのではないだろうか。
 所有機材の一覧を作成している人はよく見かける。
 その際、レンズは焦点距離とF値がひと目で判別出来たほうが便利ではないだろうか。
 そう思って作ったのがこのレンズマッピング。


 マウントごとに色分けしている。近々この中にSAマウントの20mm F1.4 DG HSM | Artが増える予定となっている。EFレンズはダブルズームと撒き餌しか持っていないので載せていない。
 とはいえF2.8の標準域がごちゃごちゃしている。28mm F2.8なんて同じ点に二個のレンズが載っている。

 このレンズマッピングはtwitterで公開したのだが、案の定テレ側300mmでは足りないという声が上がった。なので何種類か作成した。





 自分で書いてみたい人は下のリンクからダウンロードを。使用にあたり許可も報告も不要。改変再配布もご自由に。
png版
Illustrator版

 私はテレ側は120-300mm F2.8 DG OS HSM | Sportsまでしか購入する予定はないので、1枚目の画像で収まるはず。

 このテンプレートを利用してさまざまな人がレンズマッピングを作成してくれたのだが、人によってなにを考えてレンズ構成を組み立てているか透けて見えるような気がしておもしろい。
 35mm判換算の焦点距離で書いている人もいた。私はAPS-Cと35mm判が混ざっているため、全て実焦点で書いている。

 また、このマッピングを作成すると自分がカバーしていない部分のレンズが一目瞭然となる。私の場合は望遠側が足りないため、120-300mmを早めに導入したいものだ。

 最新のレンズマッピングは所有機材一覧に載せている。
 望遠レンズの特徴に圧縮効果というものがある。
 「圧縮効果」でググれば作例はたくさん出てくるが、どういった理屈でこの効果が現れるか解説しているページはあまりないようだ。考えてみれば簡単な話なのだが、具体的な数値を交えて図解する。

 例として焦点距離24mmと300mmの場合を比較してみる。それぞれの画角は以下の式で求められる。意味がわからなかったら読み飛ばしていい。

対角線画角:2*arctan(sqrt(36^2+24^2)*0.5/焦点距離)*180/pi [度]
水平画角:2*arctan(36*0.5/焦点距離)*180/pi [度]
垂直画角:2*arctan(24*0.5/焦点距離)*180/pi [度]
・焦点距離は35mm判換算焦点距離、水平画角・垂直画角はアスペクト比3:2の場合。
・ピント位置無限遠の場合。
・歪曲収差は無視する。そのため魚眼レンズは除く。
・Googleで計算するとarctanがradで計算されるため、180/piをかけて度へ変換している。

 この式で水平画角を求めると以下のようになる。
24mm:74度
300mm:6.9度
 この時24mm時の画角が以下のようなイメージとなる。なおオレンジの被写体と青い被写体は同じ大きさで描いている。


 この図にオレンジ色の被写体が同じ倍率となるように300mmの画角を重ねてみる。撮影距離等が異なるため省略を入れている。


 青い横線がオレンジ色の被写体のある距離において写る横幅となる。オレンジは写る範囲全体に対して10%の横幅を持つため、横幅36mmの撮像面に対し3.6mmの大きさで写る(35mm判の場合)。オレンジの大きさを基準に300mmの画角を重ねたのだから、24mmの場合も300mmの場合もオレンジは同じ大きさで写る。
 では青い被写体の大きさを見てみよう。


 見ての通り写る範囲に対しての大きさが24mmと300mmでは変わっている。300mmでは全体の8.9%の大きさで写るが、24mmでは3.3%しかない。
 実際に撮影した写真は以下のようなイメージとなる。

24mmの場合

300mmの場合

 青は同じ位置関係、同じ大きさの被写体であるにもかかわらず、レンズによって大きさが変わってしまう。
 24mmでは遠い被写体が小さく写るため青が遠くにあるものとわかりやすいが、300mmではあまり大きさが変わっていないため、遠近感が消失して見える。
 これが圧縮効果の理屈だ。
 ちなみに上の図、数値は被写体を適当に配置した図から実測した数値なのであまり厳密ではないし、そもそも被写体の距離を明確に定めていない。


 ちなみに、この計算を用いれば大きさと距離のわかっている被写体に対して所望の大きさで撮影するのに必要な焦点距離を算出できる。
 例として月を考えよう。

 月の大きさ、距離はWikipediaより以下の通りである。

月・地球間距離:L = 384400km(平均)
月の直径:D = 3476km

 以上より月の視直径は、月は球状であるため
δ = 2*arcsin(D*0.5/L)*180/pi = 0.518 [度] (= 0.00904 [rad])
 となり、上に上げた垂直画角の式より画面の短辺いっぱいに写す場合は
f = 24*0.5/tan(δ[rad]/2) = 2654mm
 となる。
 短辺のM = 0.8倍で写す場合は
f = 24*0.5*M/tan(δ[rad]/2) = 2123mm
 であり、どのみち画面いっぱいの月が必要な場合は焦点距離2m超えが必要になることがわかる。800mm F5.6にx1.4テレコンでCanon APS-Cでも換算1800mmにも届かないのだが……スーパームーンの時ならばもう少し条件は優しいはず。

 式をまとめると以下となる。
・被写体が球状の場合
f = l*0.5*M/tan(arcsin(D*0.5/L))

・被写体が平面の場合
f = l*M*L/D

・被写体の視直径がわかっている場合
f = l*0.5*M/tan(δ/2)

f : 35mm判換算焦点距離 [mm]
l : 35mm判撮像面長さ(対角:43.2mm、水平:36mm、垂直:24mm)
M : 像面上の被写体の占める大きさ
L : 被写体までの距離 [m]
D : 被写体の大きさ [m]
δ : 視直径 [rad]

 LとDは単位が揃っていればmだろうとkmだろうと天文単位だろうとなんでもいい。
 被写体が球状の場合でも、天体のような視直径が小さいものは平面の場合の式で計算して実用上差し支えない。上の月の例では小数点以下一桁目まで同じになった。
 このように計算すれば天体や富士山などの撮影に必要な焦点距離を予め確認できる。こんな確認したことは私は一度もないが。
 ちなみにM42オリオン大星雲はWikipediaによれば視直径66'×60'だそうだ。これを撮像面短辺いっぱいに写そうと思うと換算1375mmとなる。暗いだけで月より大きかったのか……! R200SSにCanon APS-Cで1280mm、上の式をMについて解けば短辺の0.93倍の大きさに写る。ちょうどいいくらいか。

 とはいえ、天体を考えると必要な焦点距離が軽々と1mを超えてくる。天体こわい。具体的に言えばGINJI-200FNとSXPとAstro6Dがこわい。あーこわいなー(チラッチラッ
 SD1後継機はよ、と言い続けてどのくらい経っただろうか。
 Foveon X3 Quattroセンサを搭載したdp0 Quattroの発売が2015年7月10日だ。それから3ヶ月、SD1後継機は噂も聞こえてこない。さすがのSIGMAでも、まさかdp-1(マイナスイチ) Quattroやdp1.5 Quattroなんてものを開発してはいないだろう。カメラ開発チームは現在SD1後継機しか作るものがないはずだ。(カメラ開発チームが部署として常時存在しているのかは知らないが)
 また、Merrill世代のカメラではSD1 Merrillが一番最初に発売されている。これは無印SD1の存在があったゆえであることは想像できるが、これによってレフ機の優先順位が高いと錯覚してしまっていた。つまりQuattro世代のカメラでも遠からずレフ機が出るのではないかと思っていた。
 最初のdp2 Quattroの発表が2014年2月である。
 そこから1年半以上、SD1後継機を期待し続け、待ち続けている。

 なぜここまで時間がかかっているのか? 希望的な推測をすればカメラの機能を高めるためである、と思いたい。
 悲観的な推測ではSD1後継機は出すつもりがない、となるが、おそらくそれはない。社長がインタビュー記事にてSD1後継機の開発は行っていると明言しているし、SIGMAはユーザを切り捨てるような会社ではないはずだ。その点ではAマウントユーザよりは希望があるのではないかとも思う。

 さて、ではSD1後継機はどのようなカメラとなるのだろうか? 私の勝手な「こうなったらいいなぁ」という考えを書き連ねていく。

1. Foveon X3 Quattroセンサ搭載
 まず間違いない。Merrillのままはありえないし(私はそれでも良いのだが)、Quattroをすっ飛ばして巨額の開発費を投じ、新型センサを搭載するなどということは考えにくい。

2. ライブビュー搭載
 FoveonのライブビューはDPシリーズでできているし、特に実現に困難があるとも思えない。できれば暗所でノイズの少ないものにしてもらいたいが……
 dpQのライブビューは遅延とこんにゃく現象が目立つので改善できるならば改善してもらいたい。私はライブビューで動きものを撮るつもりはないので別にどうでもいいのだが。
2015/11/22追記
 Foveonは周辺部に色被りを生じ、その度合はレンズごとに異なることを失念していた。レンズ一体型のDPシリーズではともかく、レンズ交換式のSDでレンズごとの色被り補正をリアルタイムで行うのは難しいのかもしれない。

3. 処理速度・書き込み速度改善
 SD1 Merrillは流石に遅すぎる。7枚連射しバッファフルとなってから操作ができるようになるまで、体感だが2分近くかかっているのではないだろうか。
 これは高速なCFを利用してもほとんど改善されない。故に待ち時間の殆どが画像処理によるものと思われる。
 ベイヤーではこの画像処理はハードウェア処理をしているが、Foveonの場合はベイヤー処理用の素子が利用できないためソフトウェア処理をしていおり、そのため処理に時間がかかるそうだ。
 この開発期間の長さはFoveon画像を高速処理可能な素子を開発しているためのもの……だったらいいなぁ。
 この書き込み時間の長さはSD1 Merrillを使用していて最も不満を感じる箇所なため、この点が改善されるだけでSD1の使い勝手が劇的に良くなるはずだ。

4. ファインダーの改善
 現状にそこまで不満があるわけではないが、やはり所詮APS-Cのファインダーだな、と思う。
 欲を言えば35mm判換算0.75倍のファインダー(実倍率1.125倍)、メガネでも問題のないレベルのハイアイポイント、フォーカシングスクリーン交換式、スクリーンは拡散性のいいものとスプリットイメージ・マイクロプリズムの二種類をオプションとして用意、内蔵ストロボなど捨ててしまえ。
 もちろん接眼部の光学系も手の込んだものにしてほしい。そして接眼部は背面液晶よりも飛び出した形に。液晶に鼻が当たるのは仕方がないが、少しでも窮屈さを解消できると嬉しい。
 SONYのα7RII、α7SIIのファインダー部には「T*」の刻印が入っている。あれを真似してArtレンズについている丸いAのパーツを埋め込んだらかっこよさそうだ。
 と、妄想を垂れ流した。言うだけならタダだからね。
 しかしここに書いた内容ももしかしたら実現されるかもしれない、と思わせるだけの力がSIGMAにはある。
 dpQでも変態的フォルムを実現するLCDファインダーに加え、正直ろくに売れるとも思えない光学ファインダーもdp3以外には用意されている。
 これはSIGMAはファインダーに力を入れているということの証明に他ならないのではないだろうか。ということにして今しばらく夢を見ていたい。

5. 電子先幕シャッターの搭載
 せっかくのFoveon、微ブレも排除して撮影したい時がある。そのときミラーアップだけでは片手落ちだ。
 技術的には不可能ではないのでは? 別に完全電子シャッターでもかまわない。

6. バッテリー容量の増加
 Foveonは電池を食う。画像処理が大食いなのではないだろうか? dpシリーズも最初から電池が2個付いてくるそうなので、ボディの大きい一眼レフならばもっと容量の大きい電池を搭載したほうがいいのではないだろうか。
 というのも理由の一つなのだが、もう一つの理由はSIGMAのバッテリーがBP-21からBP-22へ変更されたことだ。
 私が所有しているバッテリーはBP-21であり、充電器も当然BC-21を利用している。そしてこの型番21のものと22のものでは全く互換性がない。BP-21をBC-22で充電することはできないし、その逆もしかり。全く同じカメラ、同じ形状の電池のために充電器二種類を使用し、間違った組み合わせに気をつけながら使用しなくてはいけない。
 ならばいっそのこと全く互換性のない大容量バッテリーを採用してくれたほうがすっきりする。

7. 外観デザインはどうなる?
 最初にdp2 Quattroの発表写真を見た時には、あまりにも特殊な外観デザインに驚いた。
 SD1後継機はこのdpのデザインを踏襲するだろうか?
 一眼レフの場合はミラーボックス、ファインダー、グリップ及びバッテリー室など、変更したくてもできないパーツが多い。そのため、形状は大きくは変わらない、正確に言えば変えられないのではないかと思っている。
 個人的には現行SD1のデザインが大好きなのであまり変えてほしくはない。両肩にダイヤルのあるカメラはカッコイイと思っている。肩液晶もあまり好きではない。
 塗装などの表面処理はdpQやArtレンズの質感を意識するだろうとは思う。

8. AF性能はどうなる?
 SD1に付いているAFセンサはオリンパスE-5のものだろう。オリンパスが今でもレフ機を作り続けているならばSD1後継機にはそのセンサが搭載されると予想できたが、現在の状況ではどうなることか。
 同じセンサを引き続き利用するという選択肢は可能性が低いのではないだろうか。現状SD1 Merrillでしか使用されないセンサがいつ供給停止されるか知れたものではない。
 ユーザとしてはEOS 7D Mark2あたりのセンサをアルゴリズムごと載せてくれるのが理想的かとも思うが、キヤノンがそんなものを外部に出すわけがない。無理だろう。
 これに関しては本当にどうなるか全く予想できない。蓋を開けてのお楽しみ、だ。

 と、一通り思いつくものを書き並べた。いざ発売された時にどこまで実現されるだろうか。楽しみだ。
 SD1後継機はよ。

2016/3/1追記
 sd Quattroが発表された。
  • Foveonセンサでの色被り

【SIGMA SD1 Merrill, Unknown (0), @0.0 mm F1.0, 1/5000, ISO100, 0EV】
SOLIGOR WIDE-AUTO 28mm F2.8(M42) @F2.8

 Foveon X3 Merrillセンサーを搭載したSD1 MerrillではM42レンズ等をアダプタを介して撮影した場合や、SAマウントでも古いレンズを使用した場合に紫被りや緑被りが発生する。要するにレンズ情報が取得できない場合にこの現象が起きる。
 この現象は広角か望遠か、もしくは同じ焦点距離でもレンズやピント位置、光線状況によって程度が異なるが、すべてのレンズで発生している。つまりセンサ側の問題である。通常撮影時にこの現象が発生しないのはレンズ情報から補正をかけているからだ。これは通常のSAマウントレンズをしっかりとマウントせず、電子接点が利用できない状態で撮影することで確認できる。

【SIGMA SD1 Merrill, 8-16mm F4.5-5.6, @16.0 mm F5.6, 1/6, ISO100, 0EV】

【SIGMA SD1 Merrill, Unknown (0), @0.0 mm F1.0, 1/10, ISO100, 0EV】

【SIGMA SD1 Merrill, Unknown (0), @0.0 mm F1.4, 1/5, ISO100, 0EV】


 同じレンズ・同じ条件で適当に三枚の写真を撮った。一番上がレンズを正しくマウントした状態、その下2枚がレンズをロック位置からずらした状態だ(EXIFを見るとレンズ名がUnknown (0)となり何のレンズで撮ったかカメラでは判別できていない)。二枚目では1段ほど露出がアンダーになったため、三枚目では+1段している。
 アンダー気味な二枚目は一目瞭然だが、三枚目も色被りが発生していることが分かる。
 なお全てRAW内埋め込みjpgであり、二枚目の写真もRAWをSPPで補正すればそれなりに見れるようにはなる。その場合は写真下部が緑被りするのだが。


  • 推測される原因

 この色被りはどういった原因で発生するのか。これはレンズのテレセントリック性によるものと推測している。
 まずFoveonセンサの構造についてだが、三層構造になっていることは周知の事実として、より現実に近い構造図は下記Webページに紹介されている特許の図であろう。
フォビオンセンサーの厄介さ
http://www.higashino.jp/photo/sd10/dcx3/x3/


 この図ではB層が薄く、R層が厚くなっている。全体の厚みは2μm、各層の厚みは上から0.2μm、0.4μm、1.4μmとある。
 では光が垂直に入射した場合と45度斜めに入射した場合を考える。なお、可視光線の範囲の波長はR層深さの2μmまでで全て吸収できることとして考える。

垂直入射

斜め入射(45度)

 見ての通り、光が各層を通過する長さが斜めに入射する場合には変わっている。
 具体的には下図の通りとなる。


 斜め入射の場合、B層・G層は本来吸収するべきでない深さの波長を吸収してしまっている。R層に関しては「2μmで可視光線を全て吸収する」という前提が正しいかわからないためあまり信用出来ない。マウント部のIRカットフィルタの特性によっても変わるはずだ。
 この現象のため、各波長をまんべんなく含んだ太陽光のような光源では光が斜めに入射する画像周辺部でB・G成分の出力が増えることで青緑色に変色する。また、AWBが周辺部の緑被りの影響を受け、本来正常な色である中央部を紫色へ変色させる。
 白色光以外でも概ね緑色に転ぶはずである。オレンジの場合は下図のように分光されてしまうのではないかと思われる。


 矢印の上側が正常な分光、下が斜めに入射した際の分光である。
 本来はR成分となるべき領域がG成分に振り分けられてしまう。
 三波長形蛍光灯のように特定のスペクトルだけが突き抜けて多い場合は影響が大きいような気がする……

 と、以上に示したものがFoveonにおける緑被りの正体なのではないかと思っている。理屈は合うのでそこまで間違ってはいないと思うのだが、どうだろう?


  • 補正による弊害はあるか?

 この問題はFoveon X3 Merrillセンサを積んだ全てのカメラ、すべての写真で発生している。一見正常に見える写真もカメラ内部・SPPで補正された状態のものだ。そのため、アダプタ等を利用しない通常の撮影でも弊害がある場合は把握しておいたほうがいい。
 この現象により発生する問題は三点考えられる。

1. 写真周辺部の赤のS/N比が悪化する
2. 色再現性に悪影響を及ぼす
3. アダプタ等を利用した場合に写真の色味がおかしくなる

 1のS/N比は高感度撮影において問題となってくると思われる。
 とはいえ、Foveon機でISOを無理に上げる人はいないだろう。私も自分で撮影した写真の中で最も感度が高いのはISO400だ。この程度では特に問題を感じることは無かった。
 ISOを1600程度まで上げて周辺部に赤い被写体を配置すれば影響が確認できるかもしれないが、面倒なのでやらない。

 2の色再現性は「考えられる」というレベルで使用時に気になったことはない。
 それにもともとMerrill機の色再現性はあまりよくない。全体的に暖色に寄るようだ。そういった問題を抱えるカメラであるゆえ、そもそも厳密な色再現性を必要とする人はこのカメラを使うべきではない。
 Quattroでは色再現性も良いようなのでSD1後継機を早く出して欲しいものだ。

 3のアダプタ使用時だが、これはもう諦める他ないと思っている。CornerFixというソフトで補正が可能だが、色かぶりの範囲・程度は撮影条件によってかなり変化するらしく、とても補正しきれない。手間もかなりかかるため枚数が多い場合は御免こうむりたい。
 トップの写真を補正したものが下記の写真だが、まだ左端付近に緑の色被りが残っている。色味もおかしい。
 テレセントリック性などなんら考慮されていないフィルム時代のレンズであるためここまでひどいのかもしれない。

_SDI9471

 どうしてもアダプタで使用したいレンズがあるならば他のカメラを使うか、モノクロで撮るべきだ。


  • レンズ情報があるのに補正が掛からない?

 一度だけ、Art 18-35mm F1.8を使用している時にRAW内埋め込みjpgが明らかに色被りしている写真が撮れた。

【SIGMA SD1 Merrill, Art 18-35mm F1.8, @19.0 mm F1.8, 1/5, ISO100, 0EV】

 レンズがマウントできていなかったわけではない。EXIFにレンズ情報も残っている。RAWをSPPで開くと問題ない。なのに埋め込みjpgがこのありさまだった。
 SD1で撮るときは全てRAWで保存しているのでjpgがダメでもどうでもいいのだが、あまり気分の良いものではない。
 SIGMAにRAWを送ってみたほうがいいのだろうか。