あまりにもブログに書くことがなさすぎるため、カメラとは関係ないが最近買った商品についてレビューしてみたいと思う。

 「allocaco 卓上ドリンククーラー」というこの商品はペルチェ素子を利用してコップを直接冷却・加熱するものだ。これにより常温の飲み物を10分で冷却し、温かい飲み物も飲み頃の温度をキープできると謳われている。

 インターフェースは本体にボタンが一つだけのシンプルなもの。このボタンを押せば電源が入り冷却開始、長押しで加熱へ切り替えができる。

 この製品のメリットは上に挙げられたとおりだが、ここでは実際に使ってみて分かったデメリットについて語る。


・伝熱面の平滑さが低い

 本製品は本体の伝熱面とアルミ製コップが接触し、接触面から熱を伝えることで機能する。そのため本体の伝熱面とコップは密着している必要があるのだが、本製品ではそのあたりは配慮されていないようだ。

 私が買った個体では本体伝熱面に最初から変形が見られた。わずかに出っ張っているのだが、このせいで接触面積が低下する。



 解決策としては、伝熱面に少量の水を入れておくことだ。この水がCPUとCPUクーラーの間のグリスのような役割をしてくれる。しかしコップ底部が常に濡れる状態となるため、結露したコップのように水滴が落ちる。

 同じく熱伝達が第一となるCPUクーラーではCPU接触面が鏡面に磨き上げられている製品が多い。このドリンククーラーも鏡面にしろとまでは言わないが、せめて凹凸くらいは気を使ってほしかった。


・底面から冷却するため飲み物の上側が冷えない

 水は温度が低くなると比重が増し重くなる。

 氷による冷却の場合、水面に浮かんだ氷に冷やされた水は重くなり底に沈み、温かい水が押し上げられて氷と接触し冷やされる、という循環でコップの中の水は均等に冷やされる。

 しかしコップ底部からの冷却では冷やされた水が最初から底にあるために対流が起きず、コップ上側の飲み物は冷却されない。更にアルミ製コップがヒートシンクの役割をすることで空気中から吸熱するため、放置しているだけでは全体を冷やしきれない。



 飲み物全体を冷却するにはマドラーやスプーンなどでかき混ぜる必要がある。


・アルミ製コップは熱い飲み物を入れると唇が熱い

 アルミは熱伝導率に優れる材質のため、熱い飲み物を入れるとコップ自体もあっという間に熱くなる。手で持つことも難しくなり、飲む際は唇が熱くて非常に飲みづらい。

 手で持つときに関してはシリコーンのカバーが付属しているのだが気休め程度のため、結局熱いことに変わりはない。


・結露が激しい

 熱伝導率のいいアルミのコップ自体を冷却するため結露が多い。



・消費電力がやや多い

 付属のACアダプタは12V3Aのものだった。そのため最大で36W消費していると思われる。

 ペルチェ素子を使う製品のためこのくらいの消費電力は仕方ないところではあるが……


・うるさい

 常に冷却ファンが回っているため、そこそこの音がする。イメージとしては負荷が激しいときのPCくらいの音だ。


 デメリットの多くはコップにプラスチックのライニングを施すだけで解決できるのではないかと思う。コストは当然上がるだろうが、現状では熱い飲み物をこのコップで飲もうとは全く思えないので多少価格が上がっても改善してほしかったところだ。

 デメリットを書き連ねていったが、この製品には概ね満足している。

 まず常温の飲み物でも比較的短時間で冷却できるという点が優れている。私は日本酒をよく飲むのだが、一升瓶を常温で保存していると瓶ごと冷やすには非常に時間がかかってしまう。そのときこの製品であれば飲む分だけを冷やせるので所要時間が短縮できる。また、氷で冷やすのとは違い溶け出した氷で飲み物が薄まらない。

 私は主に氷水や氷を入れたお茶の保冷に使っている。キンキンに冷えた飲み物を長い時間冷えた状態で置いておけるのはなかなか便利だ。


 最小錯乱円とは、レンズを通った光束が最も小さい直径となる箇所のことである。ということは通常であればその位置がピント位置となる。
 しかし、そうならない特殊な場合も存在する。
 代表的なものはソフトフォーカスレンズだ。

 トップの画像はソフトフォーカスレンズに代表される球面収差アンダーコレクションの収差を示している。
 この図での最小錯乱円、ピント位置の直径をそれぞれ示したものが下の図だ。


 見ての通り、直径だけならばピント位置の光束は最小錯乱円でのそれに比べ3~4倍ほどになっている。
 ここで直径だけではなく、光束の強度も加味してみる。


 最小錯乱円では外周部が最も強度が高く、中心は弱い。実写では前ボケがこの形態となり、バブルボケ・二線ボケの様相となる。
 対してピント位置では中心部の強度が高く、その直径は最小錯乱円よりも小さい。周辺部はソフトフォーカス効果の原因となるフレアっぽさを担う。実写では中心部の強度の高い部分のみが像の描画を行うため、この箇所での像が最もコントラストが高くなる(=ピント位置になる)。

 よく収差を補正された現代的なレンズでは最小錯乱円の位置=ピント位置と考えていいが、厳密には収差バランスによっては両者は一致しない。

 Peak Designの今年の新商品、トラベル三脚が到着した。
 同種のカーボントラベル三脚としてバンガードのVEO265CB(ディスコン)を持っているので、こちらとの比較を行う。

 小型軽量を売りにするトラベル三脚として最も重要な重量は、VEOが1.5kg、PDが1.27kgとPDのほうが軽量となっている。しかし実際に持ってみた感覚ではそこまで大きな差は感じない。


 ただ、収納サイズには大きな差がある。VEOの脚は一般的な円形断面のパイプだが、PDは異型になっており収納時に足を閉じた状態で一本の円柱状になるよう設計されている。この仕組みにより収納時の直径が非常に小さくなっている。
 収納時の全長も優秀だ。VEOを完全に畳んだ状態ではVEOのほうがPDよりも数mm短くはなるのだが、これはセンターポールを反転して収納した場合の話だ。センターポールを正位置にした状態では雲台の高さ分がまるまるプラスされ、PDよりもだいぶ長くなる。
 トラベル三脚では一般的なセンターポール反転、もしくは脚反転の機構、個人的にはカタログスペックを盛るためだけの実用に即しないものだと思っている。実際にトラベル三脚を使っている人でも、バッグ内にすっぽりと収納するのでもなければ反転は使わないだろう。私のように運搬がPDのEveryday Messengerであれば全長を縮める必要もないため、ただ手間になるだけだ。PD三脚の優れた点はこうした面倒な一手間無しでこの縮長を実現していることだ。
 脚の太さは最も太い脚でVEOがΦ26.0に対し、PDは概ね23.5×36.0となっている。最薄部はVEOよりも薄いが幅は広いため、曲げに対する剛性はおそらく同等レベル、ねじりに対してはPDのほうが優秀と思われる。
 耐荷重はカタログスペック上でVEOが8kg、PDが9.1kgとPDのほうが優秀だが、三脚の耐荷重に関しては規格が存在せずすべてメーカーの独自基準のためメーカーをまたいでの比較は不可能。参考程度に。


 脚をすべて伸ばした状態での高さはPDのほうが高い。エレベータを伸ばすとPDが1524mm、VEOが1500mmと多少差が縮まるが、三脚はできるだけエレベータを伸ばしたくないものなのでPDの高さは嬉しい。


 脚の縮長はほぼ同じなのにPDのほうが高くなるのはレバーロック機構の厚みが関係している。PDのほうがレバーの一つ一つの高さが低いため、その分伸びる長さを確保できているのだろう。


 しかしここでPD側のデメリットが2点出てくる。まずはエレベータの細さだ。実際に触ってみるとパイプの肉厚が厚いのか中実なのかはわからないががっしりした印象はある(というか円形断面でないので肉厚を上げるか中実にしないと簡単に凹んだり曲がったりする)。しかし厚肉小径パイプと薄肉大径パイプを比較すると、薄肉大径のほうが圧倒的に剛性は上になる。たわみで言えばパイプ直径の4乗に反比例するので、PD三脚のエレベータの細さであれば剛性はあまり期待できない。
 更にこの頼りないエレベータを使用したくない場合でも、自由雲台を使う場合はある程度エレベータを伸ばさなければいけない構造となっている。これは反転機構を使用せず縮長を縮めるための構造が原因だ。とはいえたわみは長さの3乗に比例するため、最低限の高さであれば影響は小さいだろう。
 雲台部分に関しては自由雲台になっており、操作部はアルカ互換クランプとクランプのロック部、自由雲台のロックリングとなっている。


 クランプはアルカ互換プレートを固定側に引っ掛けて可動側は上から押し付ければカチリとはまる。その状態でロックリングを回せば完全に固定される。アルカ互換はほとんどがネジでのクランプだが、これはワンタッチになっている。また、アルカ互換のワンタッチで一般的なレバーロックは相性問題が現れやすい。アルカ互換プレートは規格が存在しているわけではなく微妙に寸法が違うことがあるため、レバーロックではスカスカで固定できない、きつすぎてロックできないということがある。その点、このPDのクランプはワンタッチでありながら相性問題が現れにくい形式となっている。
 また、完全にロックする前のはめ込んだだけの状態でもある程度の保持力があり、滑り落ちて落下させる可能性が低くなっている。脱落防止に関してはそれ用のピンもあり、PDの正方形プレートを使う場合は脱落の危険はほぼゼロと言っていいだろう。三脚座がアルカ互換になっているようなものでは脱落防止ピンが邪魔になるが、そういった場合は六角でピンを取り外すことも可能だ。VEOの雲台ではピンの取り外しに関しては全く考慮していない作りだったため、こちらのほうがユーザーフレンドリーだ。
 自由雲台部はクランプ用ロックリング下部のローレットのあるリングが自由雲台用ロックリングになっている。この自由雲台で良かったところはロックリングを完全に緩めた状態でもフリクションがスカスカにならず一定のトルクを保っていることだ。VEOの雲台では緩めきるとトルクがスカスカなフリー状態になっていた。滑らかさに関してはアルカスイスなどの高品質な自由雲台を使用した経験がないので比較はできない。個人的にはスチルでの実用になんら問題はないと思う。


 しかしこの自由雲台はサイズを重視したためのデメリットも多い。一般的な自由雲台は縦位置のために90度傾けることができるようになっており、傾けた状態で自由にチルト(上下方向角度調整)ができる。PD三脚の雲台ではボールを保持する3点の固定具が邪魔になるため、縦位置ではグリップ側を上にする形でしか水平に固定できない。チルトするにも制限が生まれる。真下・真上にも向けられず少し角度がついてしまう。


 こうした極端な条件でなくとも、概ね45度以上の傾きでは制限が出てくる。これはコンパクトさを優先した結果なので致し方ない。私は購入していないが他社製雲台をつけるアダプタも用意されているので、不満であれば自分で自由に雲台を付け替えすることもできる。当然重量も大きさも増すが。
 頼りないと言ったセンターポールにも見るべきところがある。逆付け・ローポジションに対応し、中にスマートフォンホルダーを内蔵しており、フックがついている。


 フックは荷物をかけることで三脚の重量を増し、安定性を高めるためのものだ。フックのない三脚ではストーンバッグを取り付けて同様のことができるが、このために別途ストーンバッグを持ち歩かねばならない。付け外しも手間になる。私は一応持っているが使ったことはない。


 このフックはエレベータが抜け落ちないためのストッパーの役割も担っている。また、フックを外すと中にはスマートフォン用のホルダーが収納されている。



 このスマホホルダー収納部には磁石が仕込まれており、勝手に抜け落ちることはない。


 フックを外しセンターポールを抜くと、センターポールの逆刺しが可能だ。そのまま真俯瞰撮影ができる。また、センターポールは六角で2分割にでき、短くすればローポジション撮影ができる。


 この分割に必要な六角は脚にホルダーがあり、邪魔にならないよう収納可能だ。これは逆さまにしても抜け落ちない。この六角は大小2つのサイズが一組になっており、これだけで三脚の殆どのネジを回すことができる。


 こうしたローポジション撮影への対応はVEOでは別パーツの短いセンターポールへの換装が必要だった。非常に固く外しにくいセンターポールストッパーを外し、別途持ち歩かなくてはいけない工具で雲台を外し、収納する場所のない別パーツに雲台を取り付け、センターポールを差し替える。こんなことやってられるわけがない。


 PD三脚では確かに多少の手間はかかるものの、三脚に装着して常に携帯する工具一つで変更が可能なため、現場で行うにあたって現実的な手間となった。


 エレベータのロックネジも少し工夫がある。飛び出ていては収納時に邪魔になり、短ければ操作時に扱いにくい。その問題を解決するため操作時のみカチリと引き出すことができる。
 また、個人的に嬉しいのがカーボン三脚なのにレバーロックであることだ。カーボンのレバーロックは選択肢が少ない。私がVEOを買ったのはカーボンでレバーロックでアルカ互換だったからだ。PD三脚もこの3要素を満たす。VEOに比べロックレバーが長いことも高ポイントだ。テコの原理で少ない力で開閉できる。
 あと私は使わないがケース。Everyday Messenger等と同じ材質のようだ。アンカーを取り付けできるループがある。サイズはギリギリで三脚を収め直すのは少々手間になる。ちなみにアンカーは本体にもセンターポール先端のフックと脚の根元付近の2箇所に取り付けできる。
 ケース内には分解工具も入っている。砂を噛むなどして動きが悪くなったら使うだろう。
 PD三脚のいいところばかり書いたが、最後にVEOのほうが優れていた点を2点挙げよう。


 1点目は開脚角度のロックだ。VEOは側面のボタン式で3種類、PDはレバーで2種類しかない。通常用とローポジション用だけだ。階段など段差がある箇所では使い勝手が悪くなるだろう。


 2点目は石突だ。これはPDが劣っているというよりVEOが優れているのだが、VEOの石突はゴムをねじ込むことでゴム石突とスパイクを簡単に切り替えることができる。PDはネジによる固定で、標準はゴムになっている。スパイクは別売りのため私は買わなかった。

 こうして見るとPD三脚は非常に優秀で、不満点はほぼない。唯一自由雲台の可動域が残念だが、それはコンパクトさとトレードオフの要素だ。
 アルカ互換のトラベル三脚では最も高品質なものの一つだろう。流石に一番細い脚の太さを見ると心もとない気もするが、これはトラベル三脚だ。1.27kgという重さを考えれば十二分な役割を果たしてくれるだろう。

 センサーサイズが大きいカメラはボケが大きくなりやすい。これは事実だ。
 だがしかし、現在中判デジタルとして主流である44×33mmのセンサーを持つカメラでは少々事情が異なる。
 現在、現行の中判デジタル用マウントはPENTAX 645マウント、FUJIFILM Gマウント、Leica Sマウント、HASSELBLAD Xマウント・Hマウントあたりだ。このうち、ハッセルHマウント以外はすべて44×33mmのセンサーを持つボディしかない。

 さて、センサーサイズの違いがボケ量にどのような変化を及ぼすかについては過去記事でまとめている。

フォーマットサイズによるボケ量の変化 | 五海里
https://illlor2lli.blogspot.com/2016/08/blog-post.html

 この記事では3パターン計算しているが、最初に挙げている同一換算焦点距離での違いが最も実用的な指標となるため、この条件で比較しよう。
 このパターンでは過去に書いたとおり、ボケの大きさはF値を換算倍率倍すればそのまま比較が可能となる。
 では44×33mmを35mm判に換算するための倍率はいくらになるかというと
sqrt(36*24)/sqrt(44*33) = 0.77
 となる。つまり中判用レンズのF値を0.77倍すれば35mm判用レンズと直接比較ができるし、逆に35mm判用レンズのF値を0.77で割れば中判用レンズと比較できる。
 そこで、35mm判用レンズで一般的に明るいレンズと言われるF1.4は中判用でどのくらいのF値に相当するかを計算してみると、F1.8のものと同等となることがわかる。(ライカSは45×30mmのためF1.75)

 では各中判用レンズのラインナップを見てみよう。
 645マウントで最も明るいレンズはMACRO 90mm F2.8 ED AW SRや75mm F2.8など。
 GマウントではGF110mm F2 R LM WR。(非純正ならば中一光学の65mm F1.4、85mm F1.2があるが)
 Sマウントではズミクロン 100mm F2。
 Xマウントでは85mm F1.9。
 どのマウントでも純正ではF1.8を下回るレンズが存在しない。明るくてF2程度までだ。中判でのF2レンズは35mm判でのF1.6程度のボケ量となる。
 それに対して35mm判用の明るいレンズではF1.4は当たり前、ミラーレスならばF1.2もF0.95も存在している。

 中判には中判のメリットがある。しかし、ことボケ量においては実は35mm判に対してのメリットは存在しない。
 ラージフォーマット = ボケが大きい、のイメージに凝り固まっていると盲点となるが、薄い被写界深度を求めるのであれば買うべきは中判ではない。35mm判だ。

 ひょんなことから安く中古が手に入った。セコニックの分光色彩照度計、C-7000。
 これは光源のスペクトル、演色評価、CIE1931、CIE1976を計測できる。このうちCIE1931とCIE1976は私はよく分かっていない。ディスプレイの色域関係の話で見たような気もする。
 とりあえず手近な光源のスペクトルを調べてみることにした。

 まずは太陽。窓ガラス越しに計測。



 窓ガラス越しであることが影響してか380nm付近の紫外線の波長は多少落ち込んでいるが、さすがの演色性だ。

 次に私が使っている日立のシーリングライト。「まなびのあかり」というモードを搭載しており、Ra92を謳っている。



 公称のRa92を超えRa93.1という計測結果になった。スペクトルの全体像を見るとまさにLEDといった形で、450nmの波長に大きなピークがある。演色評価のグラフを見るとR9が63.5と落ち込んでいるが、人工光源でこの数字ならば優秀な方だ。

 同じシーリングライトで「全灯」では以下の結果となった。



 日立のまなびのあかりを搭載したシーリングライトにおいて「全灯」とは2種類の白色LED全てを点灯するという意味であり、「まなびのあかり」ではそれに加え赤と青のLEDを追加で点灯させている。そのため「全灯」という名称だが全てのLEDが点灯しているわけではない。
 「まなびのあかり」と比較すると480nm付近と640nm付近の波長が落ちており、演色性も86.7と特に良いわけではない(ちなみに公称はRa85)。

 次に電球色LED。



 LEDによく見られる450nm近辺のピークは非常に少ない。ピークは608nmで長波長側のスペクトルが豊富かつ色温度も2500Kと低いが、R9は9.8と非常に低い。Raも82.8と芳しくなく、正確な色を得るための光源には不向きだ。

 では同じくらいの色温度だが演色性は高いと言われる白熱電球のスペクトルを見てみる。



 圧巻のRa99.1だ。今回の計測では太陽を超えてしまった。R9も96.4と非常に高い。
 個人的にはこのスペクトルで青系統のR4〜8とR12が高い(R12は文字が潰れて見えないが98.6ある)のが不思議に感じてしまうが、それは色温度2700Kという低さに現れている。演色性は高いものの色温度の低さから扱いにくい光源だ。

 次は昼光色LEDだ。



 THE・LEDのスペクトルといった風情だ。450nmに大きなピークがあり、Raは86.5とそこまで高くない。

 次は蛍光灯のスペクトルを見てみよう。



 こちらも典型的な三波長蛍光灯のスペクトルだ。こうして見ると演色性の観点から言えば蛍光灯はなかなかひどい。Raも78.9といままで登場したLED全てに負けている。高演色性を謳う製品ではLEDよりも蛍光灯のほうが演色性が高いことが多いため、通常の蛍光灯でもLEDより優秀な印象を勝手に持っていたが、その認識は改める必要がありそうだ。
 唯一LEDに勝っているかもしれない点は、ピーク波長が544nmという緑色の領域のため同じ光度ならば蛍光灯のほうが明るく感じられることがあるかもしれないというところだろうか。とはいえ実際は同じ大きさであればLEDのほうが光度は高いだろうし、消費電力も小さい。
 R9も9.0と低く、例えばトマトサラダやレアステーキなどはLED光源よりくすんで見えるかもしれない。食卓の光源にも向いているとは言い難い。ダイエットがしたいなら優れているかもしれないが。
 ちなみにLEDには450nmに大きなピークがあり、一昔前からこれを指して「ブルーライトが多く目に悪い」とする風潮があるが、かなり眉唾だ。
 ブルーライトの有害性を謳うWebページの中には「強いエネルギーを持っており、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達します」などと書いてある。バカか。網膜で光を受けずにどうやって物を見るのだ。全ての可視光は網膜まで到達しているに決まっている。ついでに言えば赤い光よりも波長が短いブルーライトのほうが角膜や水晶体で吸収される割合は高いだろう。こんなおつむがパーなことを平気で書いている時点で主張の信憑性に大きな疑義が出る。
 だいたい、一番最初に載せた太陽のスペクトルを見て欲しい。ガラス越しでもLEDなんかよりもよっぽどブルーライトや紫外線にあふれている。ブルーライトが有害ならば太陽のほうがよっぽど有害である。
 ただし、人類の歴史の中の大部分で太陽以外の光源は火くらいしかなかった。目へのダメージという観点では一笑に付すが、従来は太陽にしか含まれていなかったブルーライトを受けることによって体内時計が狂い睡眠に支障が出る可能性までは否定する気はない。
 しかし諸々のメリットを考えればもはや三波長蛍光灯を使うメリットはあまりないのではないだろうか。

 このC-7000はストロボ光の測定もできる。そのため手持ちのEF-610 SUPERとEF-630も計測した。
 まずはEF-610 SUPER。



 さすが写真撮影専用の光源である。Ra97.8と非常に演色性が高く、R9の数字も93.6と素晴らしい数字だ。400nm以下のスペクトルが低いが、このあたりはほとんど紫外線なので気にしなくていいだろう。
 しかし色温度が6500Kとかなり高めなのが少々気になる。昼白色の光源の中で追加で使うならばフィルターで色温度を少し落としたほうが良いかもしれない。

 では後継機のEF-630のスペクトルを見てみよう。



 EF-610 SUPERとほぼ変わりはない。同じSIGMAのストロボのため光源は共通なのだろう。

 今回C-7000を手に入れて手近な光源を計測してみた。こうして比較してみると蛍光灯のスペクトルが非常にスカスカなのが気になってしまった。私の家では直管蛍光灯以外のほぼ全ての灯りをLEDにしているのだが、これは正解だったようだ。
 また、予想外だったのがこのC-7000、Mac用のユーティリティソフトがないのだ。C-700やその後継であるC-800はMac用が用意されているのに、このC-7000だけ無い。なぜだ。数年ぶりにWindows機を引っ張り出すはめになってしまった。

 さて、これで光源のスペクトルや演色性を確認する術を手に入れたわけだが……正直、特に活用するあてがない。どうしよう。

 私のメインのカメラバッグはPeak DesignのEveryday Messengerだ。これはカメラバッグとしてのみならず普段遣いのバッグとしても利用している。
 しかしKickstarterで購入したもののため、すでに4年弱使用している。まだまだ使えはするものの擦り切れそうな部分も出てきた。そのため、今年のKickstarterで買い換えることにした。
 新しいものが届き古いものと見比べたところ、仕様が変わっている箇所が想像以上に多かったため変更箇所をまとめる。


 まずは公式にもアナウンスされていた背面について。新しいものはキャリーバッグの取っ手に通すことができるループが追加されている。事前に知っていたのはこの仕様変更だけだ。
 また、写真でもわかるが旧バージョンは背面のみ材質が異なっていた。前面・側面はやや撥水効果がある布だったが、新バージョンでは背面も同じ材質が使われている。


 次に細かいデザイン面。底部は防水・耐摩耗の素材が貼り付けられているが、新しいものは背面の固定具がなくなった。


 全面フラップの「peak design」と書かれたタグもわずかにデザインが変わっている。


 三脚を通す部分、ゴムバンドを入れる箇所に「the everyday messenger 15"」のテキストが追加されている。これは13"のサイズが追加されたときに変更されたものだろう。また、このポケット表側がやや伸縮性がある材質に変更されている。このためこの部分の収納容量がわずかに上がっている。


 ポケットの内部も色が変わっている。


 金具の色も変わっていた。写真では旧に傷があることもあってわかりにくいが、旧はシルバー、新はガンメタになっている。


 背面のポケットも仕切りの材質が変わっている。これは三脚用ゴムバンドのポケットと同じ材質になっているため、もしかしたら耐摩耗性が高い材質なのかもしれない。
 この仕切は旧ではマジックテープがあったが、新では無くなっている。



 また、旧型ではこの背面ポケットは左右にペンなどを入れられる程度に仕切られていたが、新では背面から見て右側の仕切りが無くなった。左側には残っている。


 ベルトの取付部内側の処理も変わった。古いものは金具に当て布があったが、新型では金具が露出している。内容物と金具が直接触れる可能性がある。


 ここからは機能面にも関係する部分だが、底部も少し変わっている。
 新旧の写真を見比べればわかるが、旧のほうが形がしっかりしている。底部にはおそらくプラスチックの芯地が入っていると思われるが、新しいほうが柔らかいものになっているようだ。このため柔軟性が増している。



 前面ポケットの中は仕切りのゴムが変わっており、布地も厚みが増している。古い方は頻繁に使用しているとゴムが伸び切ってしまいそうだったが、新しい方は強度が増しているようだ。
 ただし、このおかげで伸縮性は犠牲になり仕切りに入れられる容量はかなり減ったと思われる。


 一番大きな変更は側面ポケットだろう。この写真からは下部にマチが追加されているため容量が微増したことがわかる。


 また、左右ともに赤丸部分にマグネットが埋め込まれ、軽くではあるがポケットが閉じるようになった。


 スタビライザーの収納部分も変更されており、側面ポケットと共通になった。古いものでは側面ポケットとスタビライザー収納スペースは仕切られており、スタビライザーのスペースが非常に狭かったため出し入れがかなりの手間だった。
 この変更によってスタビライザーの出し入れが楽になったが、側面ポケットへ収納したものとスタビライザーの金具が直接触れるようになった。また、ごく小さなものを入れるとスタビライザーの出し入れ口からこぼれる可能性がある。


 旧バージョンの一番の問題点だったであろう溶ける滑り止め。Everyday Messengerではあまり聞かないが、同じ材質だったSLIDEでは溶け出した滑り止めが服を黒く汚したという報告がある。これは洗濯しても落ちない。
 この滑り止めはおそらくであるが材質が変更されたように思える。とはいえ見ての通り旧品は4年弱の使用ですでに溶けており元の状態を思い出せない。まあSLIDEでは変更されているし、Peak Designがこの問題を放置するとも思えないので対策されているんじゃないだろうか。


 機能面での最大の変更はFlex Foldが二重の新型になっていることだ。
 個人的にはこの二重のFlex Foldは活用したことがないため、ただ厚ぼったくなっただけに感じてしまう。

 今回、Kickstarterで購入した最初期のものと最新のものを比較したが、公式にアナウンスされている箇所以外にも多くの箇所が変更・改良されていることが分かった。中にはコストダウンと取れるものもあるが、全体的には使い勝手を向上させるためのものがほとんどだ。
 新製品でないものに対しても細かな改良を続けてより良い製品にしようという意思が感じられる。さすがPeak Designだ。